2021 Fiscal Year Research-status Report
食を介した微量アクリルアミド摂取による影響のゼブラフィッシュを用いた研究
Project/Area Number |
21K12257
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
蒋池 勇太 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70386556)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アクリルアミド / ゼブラフィッシュ / 食の安全 |
Outline of Annual Research Achievements |
アクリルアミドは、さまざまな毒性が懸念されている一方で、工業原料や環境保全資材に広く用いられているのみならず、炭水化物を多く含む食品の加熱調理中に生成されることが知られている。しかし、食品に含まれる程度の低濃度での毒性についての実験的研究は、フライドポテト中のアクリルアミド含量として過去に報告のあった量に相当する低濃度のアクリルアミドを含む餌を約1か月間ゼブラフィッシュの成魚に与えることにより、種々の毒性が脾臓で発現するという、申請者らによる報告のみである。そこで、本研究では、人々にとって最も主要なアクリルアミドの曝露源と考えられる身近な食品に含まれる程度の微量なアクリルアミドを、食を介して日常的に長期間摂取することによりどのような健康影響が生じるのかについて、モデル動物としてゼブラフィッシュを用い、検討に値する適切な濃度と曝露方法で解析し明らかにすることを目的として、①神経行動に影響はあるか、②脾臓以外の器官毒性はあるか、③次世代影響はあるか、に絞って検討する計画を立案した。 本研究計画の初年度にあたる本年度では、研究全体の前段となるゼブラフィッシュへのアクリルアミドの給餌曝露、および上記①を中心に行う計画であった。まず、アクリルアミドの給餌曝露については、詳細は後述するが、曝露開始予定の誕生後3か月に近い個体が必要数ようやく集まってきた状況であり、給餌曝露は開始できていない。そこで給餌曝露実験に先行して、①の神経行動解析のスキームについて検討を行っていた。本年度に最終年度(再延長後)を迎えた申請者の他の基盤研究(C)の成果から、この曝露系では神経毒性が発現しない場合についても検討しなければならない可能性が示唆されたため、まずは明視下で行う全般的な行動解析の準備を進めており、摂餌積極性や摂餌成功率について、一般的なビデオカメラを用いて記録する方法を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年春に現在の施設に移転後、同11月より新しい飼育施設でゼブラフィッシュの飼育・繁殖を開始したが、飼育設備の運転が安定するまでに予想をはるかに上回る時間を要し、かつ設備の不安定性に起因して計画的な継代の失敗などの問題が多数発生し、繁殖と飼育個体数を増加させることに難航した。したがって、当初は本年度に実施する予定であったゼブラフィッシュへのアクリルアミドの給餌曝露については、開始の目途はついたもののまだ行えていない。一方で、行動解析の準備は先行して進めており、本研究と継続する先述の研究から本研究に還元できる知見が得られ、より実効性を持つ方向に研究計画を発展させられていることを勘案して、やや遅れているの範疇に収まると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、ゼブラフィッシュへのアクリルアミドの給餌曝露を開始する。当初の実験計画に則り、通常の給餌条件(配合飼料を1日3回と通常のアルテミアを平日1回)で受精卵から飼育しており、受精後3か月以降順次、アクリルアミド含有アルテミアを与えて給餌曝露を開始する。受精後12か月が経過した時点で、通常のビデオカメラを用いてチャンバー内での摂餌積極性と摂餌成功率の記録を行うとともに、明暗視ビデオカメラを用いて水槽全体を複数回録画し、行動を記録する。録画された映像から行動全般の解析および神経行動学的研究で標準化された各種パラメーターについて解析を行い、低濃度アクリルアミドの長期間摂取により各種行動に影響が生じるか検討する。
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Causes of Carryover |
研究が計画からやや遅れていることに伴い、本年度に購入予定であった比較的高額な機器の購入を先送りしていること、COVID-19感染症の影響で学会出張が無かったこと、などの理由から次年度使用額が生じた。 本年度購入予定であった機器に関しては次年度に購入し、また、学会等も状況が許す限り参加したい。
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Research Products
(3 results)