2022 Fiscal Year Research-status Report
環境化学物質の生態系への影響推測に資する無脊椎動物核内受容体の進化学的解析
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21K12260
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
廣森 洋平 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (60515956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 剛 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (50303988)
松丸 大輔 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (50624152)
目加田 京子 岐阜薬科大学, 薬学部, 会計年度任用職員 (40898235)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 核内受容体 / ムラサキイガイ / EcR / RXR |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度のクローニングに成功したムラサキイガイ(Mytilus galloprovincialis)のecdysone receptor (EcR)およびこれまでにクローニング完了しているムラサキイガイretinoid X receptor (RXR)の機能解析を中心に検討を進めた。RI標識リガンドを用いたリガンド結合実験により、ムラサキイガイRXRと9cRA、TPTとの親和性について検討を行った。その結果、ムラサキイガイRXRは、9cRA、TPTの両方に結合することが確認され、親和性に関してもヒトRXRとほぼ同等であった。一方、 ムラサキイガイEcRに関しては、昆虫においてEcRリガンドとなることが知られている物質であるponasterone Aを用いて検討を行ったが、ムラサキイガイEcRとponasterone Aとの結合を確認することは出来なかった。レポーターアッセイによりムラサキイガイEcRのアゴニスト活性評価を試みたが、ponasterone Aおよびそれに類似した構造を有する化合物はいずれもアゴニスト活性を示さなかった。脊椎動物においてRXRは、それ自身とホモ二量体、他の核内受容体とヘテロ二量体を形成することが明らかとなっているため、ムラサキイガイにおいても二量体を形成するか否か検討を行った。免疫沈降法を用いて、ムラサキイガイEcRとRXRが形成するか検討を行ったが、EcRとRXRが相互作用をする結果は得られなかった。しかし、この結果に関しては実験そのものがうまいいっていない可能性も考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ムラサキイガイの核内受容体の二量体形成に関しては、さらなる条件検討が必要である可能性があるが、ムラサキイガイRXRに関して、リガンド結合性に関してはヒトRXRとほぼ同様の傾向を示すことを示唆する結果が得られたこと、およびムラサキイガイEcRに昆虫類においてリガンドとなる化合物が結合しないことが確認できたことなど、一定の成果を得られることができたため、順調に進められていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
二量体形成に関する検討については、形成していることを確認できなかったが、実験がうまくいっていない可能性があるため、今後条件検討を進めて、より正確な結果を得られてるよう進める。また、アミノ酸配列から立体構造を予測し、ドッキングシミュレーションを行った結果を実験結果の検証を利用していく。同様に、ムラサキイガイEcRのリガンド予測にもドッキングシミュレーションを使用し、その結果を基に被験物質を検討していく予定である。 また、核内受容体のリガンド依存的な転写制御にはコアクチベーターの存在も重要であるが、ヒトと無脊椎動物では、アミノ酸配列の相同性がかなり低いため、各生物種からコアクチベーターをクローニングして機能解析する必要があると考えられる。そこで、核内受容体だけでなく、コアクチベーターについても検討を進める。
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Causes of Carryover |
これまでの新型コロナウイルス流行の影響により出張を自粛していたことと、当初の予定より、試薬購入が少なかったことが次年度使用額が生じた理由と考えている。 今後は、コアクチベーターに着目した検討も進めるため、その検討に必要な試薬、器具の購入、アミノ酸配列から立体構造予測、ドッキングシミュレーションを行うためのソフトウェア購入の費用に充てたいと考えている。
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[Journal Article] Novel, highly sensitive, in vivo screening method detects estrogenic activity at low doses of bisphenol A2022
Author(s)
Ishida K, Furukawa M, Kunitani M, Yamagiwa R, Hiromori Y, Matsumaru D, Hu J, Nagase H, Nakanishi T.
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Journal Title
J. Hazard Mater.
Volume: 445
Pages: 130461
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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