2021 Fiscal Year Research-status Report
Fatty acid 2-hydroxylase (FA2H) as an exacerbation factor for the development of breast cancer
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21K12261
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
竹田 修三 福山大学, 薬学部, 教授 (00460379)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脂肪酸2位水酸化酵素 / FA2H / 毒性指標 / 環境化学物質 / 毒性指標 / 乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
申請課題は、「環境化学物質の新たな毒性指標:脂肪酸2位水酸化酵素FA2H誘導とその意義」 である。我々も含めた多くの研究者が、エストロゲン受容体α(ERα)に 作用する環境化学物質の影響を解析してきた。しかし、 盲点であったのが、「ERα陰性乳がん」の存在である。このタイプの乳がんは、ERαに依存しないメカニズムで増殖する。これまでに、ERα陰性乳がんに注目し、環境化学物質が与える毒性影響を網羅的かつ詳細に解析した例はない。本研究では、ERαに依存しないメカニズムで乳がんの悪性化を来す環境化学物質に注目して検討を進めることを目指した。 本研究では、ERα陰性乳がんの増悪には、脂肪酸の量的変化ではなく、その「質的変化 = 2位水酸化脂肪酸代謝物の生成」が関与しているとの仮説を立てた。この質的変化を引き起こす要因として、環境化学物質によるPPARαを介したFA2Hの発現誘導を想定し、本研究では、この仮説の証明をin vitroからin vivoレベルに渡る基礎研究で目指すことにした。 最近報告された論文によると、ペルフルオロオクタン酸(PFOA:ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α(PPARα)の刺激作用を有する)曝露とERα陰性乳がんリスクに正の相関があることが示唆された(Int. J. Cancer, 146: 917, 2020)。そこで本年度は、現在、環境化学物質として問題となっているPFOAに着目し、上記に示した仮説の検証をin vitroで行った。その結果、PFOAは、PPARαの活性化に符合したFA2Hの発現誘導に起因するERαがん細胞の悪性化(遊走能の亢進)を来すことが明らかになった(論文としてみ刊行済み)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の「研究実績の概要」にも示したが、当初予定していた年度計画をもれなく実行できた。また、得られた成果を世界に発信すべく、研究成果を英文学術誌に発表することができた(Sakai et al., J. Toxicol. Sci., 47(4):159-168, 2022)。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、おおむね計画通りに進展している。次年度も、申請書に記載した計画に準拠して遅滞なく研究を進める。研究計画の変更等はない。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では、DP23コントロールユニットセット(備品)の購入を予定していなかったが、既存機器の老朽化で急遽の購入に至った。しかしながら、予定していた研究が遅滞なく効率的に実施できたことにより、研究に支障を来すことはなかった。さらには、次年度への繰越金が発生した。残金を2022年度計画に組み込むことで、より多面的な角度からの検討が実施できる可能性がある。
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Research Products
(9 results)