2021 Fiscal Year Research-status Report
アーカイブとしての堆積物を用いた阪神大震災時のアスベスト放出状況の評価
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21K12267
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
井上 淳 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (90514456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥平 敬元 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (20295679)
加 三千宣 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (70448380)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アスベスト / 球状炭化粒子 / 堆積物 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本におけるアスベストの使用は,2006年に全面禁止されているが,1970年頃の高度経済成長期から1990年頃までは,建材や繊維に広く使用されてきた.現在ではこうした時代に建設された建築物の修繕や解体・撤去に伴う周辺へのアスベスト飛散や建築従業者の被曝が大きな問題となっている。課題研究は,阪神大震災の被災地やアスベスト産業地域における池の堆積物を対象に各種年代測定などを行う。また,研究を通して簡易な堆積物中のアスベスト含有量測定方法を確立する。そして,報告されている1980年以降の定期的なモニタリングデータやアスベスト使用量の変遷,震災後の詳細なモニタリングデータと比較することにより,ため池堆積物などが過去のアスベスト飛散量のアーカイブとして機能するかを明らかにする。最終的には,震災によるアスベストの大気中への放出やアスベスト産業地域での局所的な汚染量が,過去のアスベスト使用の歴史の中でどのように位置づけられるかを明らかにすることを目的としている。 本年度は,分析手法の確立を目的として,過去のアスベスト産業域のため池堆積物の試料を採取し,その堆積物試料を用いて様々な薬品や手段を用いて堆積物からの効率的なアスベスト抽出方法を確立することを目標として研究に取りくんだ。中でもアスベスト粒子の内,細粒なものを抽出することを目的に研究に取り組んだが,まだ十分な手法は確立することができなかった。ただ堆積物からのアスベスト抽出にあたってアルカリ溶液が有効である可能性が垣間見え,今後さらに研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請研究では,細粒なアスベスト粒子を対象として分析を行う予定で,そのためその抽出方法の開発にやや手間取っている。 様々な薬品や抽出方法を現在模索しており,ようやく多少の方針が見え始めた段階である。今後さらに研究を進めることで,効率的な分析手法が確立できる者と考える。また,コロナ対策などのため,試料採取がしにくい環境にあり,この点も遅延した理由となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,アスベストの抽出方法の確立を急ぎたいと考えいる。このため,再度アスベスト産業域のため池堆積物の試料を採取し分析を進める。また,昨年度実施できなかった震災地域での試料採取を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ対策や規制などにより,試料採取の計画がたてづらく,本年度はあまり試料採取を実行することができなかったため,一部の費用については予算執行できなかったため次年度へ繰り越された。次年度の試料採取などに繰り越し分を使用する予定である。
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