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2021 Fiscal Year Research-status Report

水中残留化学物質の生態系曝露量を精度高くモニタリングする改良型POCISの開発

Research Project

Project/Area Number 21K12278
Research InstitutionThe University of Shiga Prefecture

Principal Investigator

須戸 幹  滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50206570)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 岩間 憲治  滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (60269727)
中村 卓  長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (80344050)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2026-03-31
KeywordsPOCIS / 微量化学物質 / モニタリング
Outline of Annual Research Achievements

水環境中に用いるパッシブサンプラー(POCIS)は、河川や湖沼に残留する農薬や日用医薬品の中長期間の平均濃度を明らかにするツールとして着目されている。本研究では改良型POCISの創出、およびフィールドの環境条件がPOCISの集積量に与える影響を定量的に評価し、実際のフィールドにおける改良型POCISの有用性の検証を目的としている。
初年度は2種類の改良型POCISを試作した。タイプAでは、吸着材のHLB樹脂とPESフィルターの間にシリコンリングで1.0mmのスペースを設けて樹脂をPESフィルターで挟み、アクリル板の型枠で両側から雄雌のボルトで固定した。タイプBは、組み立てと分解作業を容易にするために、外枠のステンレス板の一方にネジを切り、もう一方のステンレス板から雄ボルトで固定する構造とした。
タイプAの改良型POCISについて、小型プール(2x3x0.4m)で作成した実験装置を用いて流速が集積量に与える影響を検討した。7種類の農薬成分について検討した結果、止水条件と流水中では農薬の集積量に有意な差があった。また流速が0.12~1.35m/sの範囲では集積量に有意な差はなかったが、0.010~0.11m/sの範囲では流速の増加に伴って集積量は1.2~1.5倍増加することを明らかにした。実際のフィールドにおける中長期的な平均濃度にPOCISの測定結果を用いる場合、流速による濃度の変動幅を示すことができた意義は大きい。
6種類の各医薬品濃度を用いた室内実験でタイプBとタイプAの集積量の差を検討した。実験は各成分の濃度が0.5μg/Lとなるように調整した1L水溶液中にPOCISを浸漬して行った。5成分ではAタイプとBタイプの差は1.5倍以内であったが、1成分のみ約5倍の差があった。POCISの汎用化には、型枠の違いによる集積量の差の原因を特定する必要があると考えている

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の課題は、1)改良型POCISの創出と理論式の構築を行う、2)改良型POCISの集積性に影響するさまざまな環境要因の検証を行う、3)フィールドでの検証実験を行うことである。このうち令和3年度は2つの改良型POCIS(タイプAおよびタイプB)を試作したこと、タイプAについて環境要因のうち流速が集積量に与える影響を定量的に明らかにしたこと、化学物質として医薬品類への適用可能性をタイプAおよびタイプBで比較検討したことから、課題1および課題2の一部を達成できたと考えている。
一方、改良型POCISの物質移動を速度論的に解析するモデル構築も本研究の目標の一つであるが、現在のところ予備実験の段階にとどまっている。タイプAとタイプBで集積量に差があったことから、モデル式の構造を改めて精査し、必要に応じてモデルの構造をする必要が生じたためである。
以上のことから、モデル構築に対して生じた新たな課題を解決する必要があるが、改良型POCISを実際のフィールドで中長期的な平均濃度を精度高くモニタリングするツールとして開発する目標に対しては順調に進展していると考えている。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進方策は以下の通りである。
1)止水水条件におけるPOCISへの集積量が流水条件より小さくなることは、これまで水膜境界層の形成と乱流による境界層の破壊で説明されている。本研究で試作した2つの改良型POCISは外枠を固定するボルトの大きさ、ナットの有無など形状が異なることから、集積量の違いは境界層に対する応答の違いが原因と推定される。そこで様々な流速条件において集積量の差を比較し、実用性に優れている形状を決定する。
2)改良型POCISの形状に対応した物質移動モデルを構築し、モデルのパラメーターを検討する。さらに実験室内で使用できる小型実験装置を試作してパラメーターの検証を行う。
3)改良型POCISを広汎な化学物質に適用させるために、さまざまな吸着樹脂を用いた実証実験を行う。
4)農地河川および市街地河川において、実際のフィールドで改良型POCISの有効性を確認する実証調査を行う。

  • Research Products

    (1 results)

All 2021

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 水環境中の時間加重農薬濃度評価に用いるパッシブサンプラーの集積量に流速が与える影響2021

    • Author(s)
      雁瀬真七実,長野緋音,須戸 幹,尾野文哉
    • Organizer
      第56回日本水環境学会年会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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