2023 Fiscal Year Research-status Report
二枚貝を用いた日本沿岸海域におけるマイクロプラスチック汚染状況の復元
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21K12281
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
苅部 甚一 近畿大学, 工学部, 講師 (10596935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀田 豊 千葉工業大学, 創造工学部, 教授 (60397081)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マイクロプラスチック / 二枚貝 |
Outline of Annual Research Achievements |
R5年度は昨年度に引き続き二枚貝や海水の分析法の検討を行うとともに瀬戸内海および日本海側において試料採集調査を行った.分析法の検討では,二枚貝は軟体部を水酸化カリウム,過酸化水素,酵素入り洗剤で分解した後,ヨウ化ナトリウムによりマイクロプラスチックを分離,回収する手法を検討した.海水は,10μm程度のプランクトンネットで海水をろ過した後,ろ集した懸濁物を水酸化カリウム,過酸化水素,酵素入り洗剤で分解し,二枚貝と同じようにヨウ化ナトリウムによりマイクロプラスチックを分離回収する方法を検討した.これらの手法の検討は,実際の二枚貝および海水試料にポリエチレン製のビーズ(粒径がおよそ30μm,100μm,300μm)を添加,回収する方法で実施した.また,今年度はこれまで未検討であった分析器具にも着目し,各種試薬で試料を溶解させた液体をろ過するときに使用するガラス器具の検討(ガラス製,ステンレス製,サイズ)の検討も行った.二枚貝については軟体部を取り出した後,海水については現場で海水を100L程度ろ過した後の懸濁液に対して上記3サイズのビーズを添加し,前述した手法による処理後の各ビーズ回収個数を調べた結果,100および300μmのビーズについては90%程度の回収率を得ることができた.しかし,30μmのビーズについては60%程度となった.この小型ビーズの回収率低下の原因の一つとして,ビーズを含む溶液のろ過時のビーズ損失の可能性が示唆された.従って,現段階では検討している分析法は実試料の分析に適用するには不十分な段階にあり,さらなる手法の検討が必要であるといえる.これと並行し,日本海及び瀬戸内海域において二枚貝採集を行うことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
R5年度中に分析法にめどをつけることができなかった.しかしながら,その対策についてはある程度の見当がついており,研究最終年となるR6年度も引き続き分析法の検討を行う.合わせて試料採集を行う予定である.分析法の検討が引き続き必要な点を考慮して全体としての研究計画の進捗については遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
R6年度は,分析法に関して小型サイズのビーズの回収率の向上対策の検討を行い,分析法を確立させる.過去の長期保存試料は非常に貴重な試料であるため,分析法が確立しない限りはこれらの試料の分析に取り掛かることはできない.そのため,まずは分析法の確立を優先的に行う.この分析法の検討と同時に,当初予定していた日本沿岸各地での試料採集を進め,分析法が確立した段階で日本海側,太平洋側,瀬戸内海,東京湾など地点を絞って効率的に分析を進めていく.
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Causes of Carryover |
R5年度は分析法の検討に時間を費やしたため,予定していた調査の一部が実施できなかった.そのため,必要経費の一部が年度内に使用しきれずに次年度使用額が発生した.R6年度はR5年度に未実施であった調査を行う予定であり,この次年度使用額はR6年度に使用する.
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