2021 Fiscal Year Research-status Report
環境動態解明に資する塩素化パラフィンの成分組成及び毒性推定手法の開発
Project/Area Number |
21K12285
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
羽成 修康 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ長 (10392648)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 塩素化パラフィン / 成分組成 / 二次元ガスクロマトグラフ / 毒性推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、PCBと同様に難分解性・高蓄積性を有し、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の規制対象物質である塩素化パラフィン(CP)の環境挙動、なかでも毒性影響を把握することである。光耐性が強い成分は強残留性を示すため、CPの光反応特性を評価できる耐光試験を行い、試験前後のCPを二次元ガスクロマトグラフ質量分析計(GC×GC-MS)により異性体別分析する。その結果と別途実施する毒性試験結果の相関性をマッピングすることで、従来法では評価困難な、CP同族体や異性体の成分組成差異やリスク懸念成分を可視化できる手法開発を行う。当該年度の目標は、GC×GC-MSで市販試薬のCPを測定し、その結果をマッピングすることであった。従来法であるGC-MSでは6000以上の異性体を詳細分離することが困難であるため、GC×GC-MSを用いて異性体別に可能な限り分離する条件を検討した。標準物質である短鎖塩素化パラフィン(SCCP)を試料とし2条件で分析したところ、混合物であるSCCPの幾つかの成分群がマッピングされた。得られたマッピング結果では、ある程度の炭素数順、塩素数順での溶出が確認できたが、詳細な溶出順の決定には単成分を用いた確認が必要となった。なお、用いた2条件のうち、一つの条件では成分の溶出位置が、水生生物の毒性に強く影響を与える指標である水-オクタノール分配係数に連携したものであるため、標準物質であるSCCPに含まれる毒性懸念成分を評価できた。ただし、より詳細な分離条件や毒性懸念成分に関しては引き続き検討が必要である。なお、次年度の目標である、CPの水溶液中での光反応特性を利用したウェザーメーターで耐光試験の実施に関しては事前試験を実施でき、前倒しで試験試料を得られたため、現在GC×GC-MSでの分析を実行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標は、GC×GC-MSで市販試薬のCPを測定し、その結果をマッピングすることである。さらなる条件検討は必要であったが、2つの条件を設定でき、目標の大部分を実施できたこと、また次年度の耐光試験を前倒し実施できたため、進捗は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
耐光試験を前倒し実施できたことで、ある程度の耐光試験条件検討も実施できたことから、その時間的猶予を用いて、当該年度の目標であったGC×GC-MSのさらなる条件検討を行う予定である。また、耐光試験前後の試料を所有しているため、最終年度の動植物毒性試験も前倒し実施する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で学会がオンライン開催となったこと、中鎖塩素化パラフィン(MCCP)外注が困難だったことが要因で次年度使用額が生じた。翌年度は、MCCP外注が実施できるよう調整したため、その外注費、GC×GC-MSのさらなる条件検討が必要となったことから、その消耗品費、動植物毒性試験の事前検討費(外注)などに使用する計画である。
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