2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of soot aggregates oxidation phenomena generated from combustors and development of a prediction model
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21K12295
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
橋本 淳 大分大学, 理工学部, 准教授 (00342551)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | すす / 粒子状物質 / 凝集体 / 予測モデル / 拡散火炎 / 予混合火炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
数μm以下の微粒子は健康へ与える影響が大きく,来るゼロエミッション社会に向けて,その予測モデルの構築が早急に求められている.微粒子は葡萄の房状の凝集体である.微粒子径の評価モデルを提案するには,この凝集粒子の酸化およびそれに伴う断片化の記述が最も困難な課題である.そこで本研究では,凝集粒子酸化・断片化機構の解明および微粒子予測モデルの構築に取り組む. 本年度はまず,基本モデルの開発を行った.研究担当者らはこれまで,コンパクトな微粒子予測モデルを提案し,特に内燃機関の分野において実機検証と普及に貢献してきた.一方,本モデルで粒子計算に用いたモーメント法では粒子質量しか予測できない.そこで本年度,新たに粒子計算にセクショナル法を適用し,凝集粒子の個数濃度分布を予測可能とした.さらに,1次粒子(単一球状粒子)の内部酸化および凝集粒子の断片化に関する簡易モデルを導入した. 検証実験の観点からは,まず,現有するBurner Stabilized Stagnation Flame(BSS火炎)実験装置の拡張を行いつつ,実用機関で用いられる液体燃料の代表成分について,基本的な予混合火炎を形成,その微粒子排出特性に対するモデル検証を行った.そこでは,粒子の内部酸化,断片化が実験結果の再現性に強く影響することも示した.さらに,凝集粒子酸化反応管実験システムの設計を行った.本装置は,現有のBSS火炎実験装置を拡張するものであり,エゼクタを用いて採取された燃焼ガスを,指定した温度・長さ(滞留時間)の酸化反応管に流入させる.本装置によって,バーナーにおける粒子生成と酸化過程を分離した計測が可能となる.現在,制作を進めているものの,昨今の部品不足の観点からいくつか導入が間に合わなかった装置があり,2年目に制作を進める. なお,以上の結果として学会発表2件の報告を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨今の部品不足の状況に伴い,装置の調達が一部遅れている.また,感染症の状況の影響で,担当学生の研究にもやや遅延が生じている.一方で,数値モデルの開発および現有装置で実験可能な実験に対するモデル検証は前倒しで進めている.以上から,総合的には概ね順調であると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は昨今の部品不足の状況に伴い,装置の調達が一部できなかった.また,感染症の状況の影響で,登学禁止期間等もあり,担当学生の研究にもやや遅延が生じた.後者については改善の兆しが見られるため,新装置の設計製作を推進する. モデル開発と検証については,引き続き推進する.
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Causes of Carryover |
【理由】 初年度導入予定であった冷却管埋め込み焼結金属を備えたバーナダクトは,内製により制作することができた.一方,高精度流量計,反応管温度制御用の電気炉等について,昨今の部品不足に関わる納期の問題で調達できなかった. 【計画】 納期問題については機種選定の見直し,および可能なものは内製することにより,研究を推進する.なお,バーナーダクトは内製したものの,焼結金属が消耗品であるため,その材料調達と制作に予定の経費を当てることとなる.微粒子研究ではその堆積によりバーナーのメンテナンスが頻繁に必要となる.そのため,既製品を導入するよりは,総合的に経費を抑えることができると判断した.
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