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2021 Fiscal Year Research-status Report

水素を高生産する嫌気性細菌のゲノム編集によるバイオリファイナリーへの応用

Research Project

Project/Area Number 21K12307
Research InstitutionMie University

Principal Investigator

木村 哲哉  三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (00281080)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsピルビン酸ギ酸リアーゼ / ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼ / Clostridium / Ruminiclostridium / 糖質加水分解酵素ファミリー / キチナーゼ
Outline of Annual Research Achievements

海洋バイオマスであるキチンを分解し水素ガスを高生産するClostridium paraputrificumと植物バイオマスを分解するRuminiclostridium josuiをゲノム編集技術によって水素ガスやアルコール、酪酸生産に最適化した株を育種し高機能化することを究極の目的とした。分子育種を行うには、上記2株の完全長ゲノム配列の解析が必要である。そこで、これらのゲノム配列を詳細に解析した。R.josuiはすでにJGIによってドラフトゲノムが公開されているが、今回の解析で4,430,823塩基の完全長配列を決定し配列を解析した結果、糖質加水分解酵素遺伝子が160個以上見つかった。またゲノム配列をもとにして代謝関連遺伝子について詳細に調べた結果、アルコール生産系の遺伝子は存在するが、酪酸生産系の遺伝子は存在しないことが明らかとなった。一方、C.paraputrificumは3,509,596塩基の完全長配列から、エタノールや酪酸合成に関わる遺伝子の存在を明らかにし、キチン分解酵素遺伝子も10個存在することが分かった。有機酸やアルコール生産に関わる代謝系遺伝子を解析し、これらの発現をリアルタイムPCR法で調べた。水素生産とアルコール生産に関わる重要なステップとなるピルビン酸からアセチルCoAへの代謝経路において代謝系が2種類存在し、そのうちピルビン酸からギ酸とアセチルCoAを生じる酵素であるピルビン酸リアーゼの活性化酵素遺伝子(PFLA)についてClosTron法によるゲノム編集で遺伝子を破壊したところ、グルコースを炭素源とする培地では水素ガスの生産が増加することが分かった。PFLと並行して存在するピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼ(PFO)の経路へ代謝の流れが集中し、その結果としてPFOから水素ガス生産につながる系で水素ガスが増産されたと考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

Clostridium paraputrificumのClosTron法を用いたゲノム編集は確実に実施できるようになったが、複数の遺伝子を破壊する実験については同法では難しい可能性が示されたため、他の方法を試す必要があり、やや進展が遅れている。また、R.josuiの遺伝子導入については要求する嫌気条件が厳しく、嫌気チャンバーの故障による実験の進行への支障が大きかった。

Strategy for Future Research Activity

C.paraputirficumについては、単一又は2遺伝子の破壊については、効率が低いながらも実施できる可能性は示せたが、当初計画にあるように複数遺伝子の改変には、遺伝子導入条件の検討や、他のゲノム編集法の導入が必要であるため、CRISPR-Cas9を含めた方法を検討する。さらに、単一遺伝子の破壊では、一つの代謝経路しか改良することができないので、代謝全体に大きな変化をもたらすことはできない。複数遺伝子の改変が難しい可能性も高いため、複数の遺伝子の発現を制御する転写因子を改変することで、複数遺伝子のゲノム編集と同じような効果が出せないか検討を行う。
R.josuiについては、嫌気条件が悪い状態でも遺伝子導入ができるように、形質転換時の遺伝子導入効率など検討を行う。また、遺伝子の発現状況をモニターすることで、バイオマス分解時に高発現している遺伝子を定量PCR法などで解析し、バイオマス分解に重要な酵素遺伝子の特定を行い、ゲノム編集法でその機能を細胞レベルで解明する。

Causes of Carryover

Covid19による影響で、購入予定だった物品や試薬、機器の修理で一部納入が遅れたものがあり、研究の実施に遅れが生じたことや、学会などがオンライン開催となったことにより、出張旅費が不要となったことによる。Covid19による対外的な活動自粛が徐々に解除されることが予測されるため、納入の遅れや対面発表なども復活する可能性があり、予定通り使用することになると予想している。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] Clostridium paraputrificumのピルビン酸ギ酸リアーゼ遺伝子の解析と水素ガス生産への応用2022

    • Author(s)
      西村しおり、竹内束沙、國武絵美、木村哲哉
    • Organizer
      日本農芸化学会大会2022年度大会(京都)

URL: 

Published: 2022-12-28  

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