2022 Fiscal Year Research-status Report
アフリカのサバンナにおいてシロアリ塚が生み出す生物多様性と生態系サービスの解明
Project/Area Number |
21K12323
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山科 千里 筑波大学, 生命環境系, 特別研究員(RPD) (00637621)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シロアリ塚 / ナミビア / 生物多様性 / 生態系サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
アフリカのサバンナにおいてシロアリ塚は生物多様性の維持に貢献し、今後の環境変動下では生態系の脆弱性を低下させる一因となることが指摘されている。しかし、シロアリ塚が生物多様性を維持する詳細なメカニズムは十分明らかになっていない。本研究は、以下の3つの目的を持ち、データベースや関係機関からの情報収集および現地調査により明らかにしていく。【目的①】南部アフリカ各地の環境要因の分析から、シロアリ塚-植物関係の地域差の要因を明らかにする、また、【目的②】動物によるシロアリ塚利用の調査から、シロアリ塚の採食地・営巣地としての重要性を明らかにする。さらに、【目的③】ナミビア北東部において住民の自然資源利用と農業活動を調査し、シロアリ塚の提供する生態系サービスを評価する。これらの研究成果を現地に還元し、生物多様性保全や地域振興につなげる。 2022年度は、世界的なコロナウィルスの蔓延は落ち着いてきたものの、アフリカでは引き続き警戒心が強く、外部からの人の訪問を歓迎していない。ナミビア北東部の調査地における調査助手とは定期的に連絡を取っているが、コロナ感染状況に加えて、社会的な状況から、調査地への訪問は延期したほうがよいという助言から、2022年度はナミビアへの渡航は行わなかった。2022年度は、目的①に係る調査及びデータの分析を進めた。また、これまでの調査の結果を書籍(「土の塔」に木が生えて シロアリ塚からはじまる小さな森の話 京都大学学術出版会)としてまとめ、2023年4月に刊行となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記のように、調査対象地域における社会的な状況から、調査地への渡航を延期したため、その分、現地調査を実施予定であった目的②と目的③に関する調査はやや遅れている。一方で、目的①に係る調査は順調に進んでいる。さらに、目的①に関しては、新たにGISを用いて、シロアリ塚が生み出す生物多様性の時間的な変化を明らかにすべく、分析を進めており、成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究計画書に沿って順次、研究を進めていく予定である。ただし、コロナの状況および育児の状況によっては計画を柔軟に変更しながら進めていく。 2022年度と同様に、これまでに集めたデータ分析を進めること、またデータベース等からの情報収集を進める。また、上述したGISを用いた分析を進め、成果を出す予定である。これらに加え、現地の調査助手やかかわりのある研究所や研究者にこまめにめに連絡を取り、現地の情報を収集する。
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Causes of Carryover |
2022年度は、上記の通り、調査地への渡航を延期したため、使用額にも変更が生じた。 また、2022年年度の4月~5月は、研究活動再開準備期間として、少しづつ研究活動再開の準備を進めていたため、研究費の使用開始が遅れ、使用額が変更になった。よって、2022年度に使用予定であった助成金と合わせ、2023年度の研究活動を進めていく予定である。具体的には、研究に係る物品を購入し、予備調査を含め、調査を行う。また、調査で得られた成果を学会や集会で発表するため、助成金の一部は旅費に充てる。
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