2021 Fiscal Year Research-status Report
Avoid or acclimate ? The Effects of noise on personality traits of green sea turtles in coastal habitat.
Project/Area Number |
21K12324
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 宏美 東京大学, 空間情報科学研究センター, 客員研究員 (80649757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 高志 神戸大学, 海事科学研究科, 助教 (10636913) [Withdrawn]
楢崎 友子 名城大学, 農学部, 助教 (30772298)
奥山 みなみ 大分大学, 医学部, 助教 (50756781)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 海中騒音 / アオウミガメ / 性格 / 摂餌行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
海中の騒音問題という新しい課題に対し、絶滅危惧種への影響・評価の指標を作り、人と動物が共存できる仕組みを作る必要がある。しかし、騒音は間接的な淘汰要因のため、移動性野生動物などの生態が不明瞭な絶滅危惧種では、生活史への影響・評価は難しい。そこで、本研究では、捕食圧が高いとリスクをとる個体は淘汰され、リスクを回避し続ける性格分布に偏る現象を利用し、騒音問題のある環境下でも同様の現象が起こっているか室内・野外実験で調べる。具体的には、まず、アオウミガメの性格であるBold―Shy分布を調べ、性格に応じて摂餌と逃避の時間配分が異なるか検証する。そして、性格に応じた野外行動と生息環境の特性を明らかにする。これにより、騒音がアオウミガメの行動を変え、性格分布を変えることが示されれば、騒音が淘汰圧として機能する指標として性格を用いることができる。 今年度は、性格を調べるための刺激の設定を行うために、複数の音刺激に対するプレイバック実験を行なった。その結果、全ての音刺激に対して、近づく個体と離れる個体が存在することがわかった。また、刺激を提示している時の心拍数は、刺激を提示しない時より多い傾向にあった。さらに、複数の音刺激の中でも特に、船舶音に対して心拍数が多くなる個体も確認された。今年度は個体数が少なく、傾向を見出すに止まったため、来年度は個体数を増やして刺激に対する反応を行動と心拍で特定し、反応の一貫性から性格を特定することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
性格の特定を行うための実験設定を行なった。音刺激に対する行動と生理的反応の計測をするために、性格の一つ、Boldness(Bold・Shy)を対象とし、リスクをとる行動の一貫した行動傾向の個体差を検出し、性格を定量化する。そのため、まずは音刺激に対してネガティブな行動を示すか、もしくはストレスを感じた時の生理的な反応として心拍数の増加がどの程度見られるかを確認する必要がある。そのため、今年度は複数の音を提示して、どの刺激にどのような反応を示すのか確認するため、またその際の生理的な反応を、様々なセンサーと記録計を装着した個体を用いてプレイバック実験を行った。心拍数と行動の対応が見られた個体数が少ないため、今後個体数を増やす必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
R3で設定した刺激を用いて複数回プレイバック実験を行い、全ての反応に個体内で一貫した傾向があるか確認して、性格を特定する。海上生簀の中でPimentel et al. 2019と同様の実験設定・行動の定義で、R3と同様の行動と心拍を1日/2回/個体を計測する。この反応に一貫性があるか確認して性格を特定し、性格の違いによって、騒音下で摂餌と回避に費やす時間配分が変化するか調べる。餌エリアで摂餌行動を示す時間とシェルターエリアに滞在する時間を計測し、摂餌と逃避のどちらに多く時間を費やすか、また状況依存的な反応をどの程度行うか調べる。これにより、音刺激がある状況下で、逃避するため餌に費やす時間を減らす行動がどのような性格の個体で見られるか明らかにする。
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Causes of Carryover |
論文掲載料金が急遽必要になり、ユーロへの換金レートが不確定だったため少し多めに前倒し請求をしたため、余剰金がでた。この余剰金は、翌年度研究発表に関することに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)