2023 Fiscal Year Annual Research Report
Avoid or acclimate ? The Effects of noise on personality traits of green sea turtles in coastal habitat.
Project/Area Number |
21K12324
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Research Institution | Kyoto City Zoo |
Principal Investigator |
工藤 宏美 京都市動物園, 生き物・学び・研究センター, 研究員(移行) (80649757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 高志 神戸大学, 海事科学研究科, 助教 (10636913) [Withdrawn]
楢崎 友子 名城大学, 農学部, 助教 (30772298)
奥山 みなみ 大分大学, 医学部, 助教 (50756781)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 海中騒音 / パーソナリティ / プレイバック実験 / アオウミガメ / 心電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
海中の騒音問題という新しい課題に対し、絶滅危惧種への影響・評価の指標を作り、人と動物が共存できる仕組みを作る必要がある。しかし、騒音は間接的な淘汰要因のため、移動性野生動物などの生態が不明瞭な絶滅危惧種では、生活史への影響・評価は難しい。そこで、本研究では、捕食圧が高いとリスクをとる個体は淘汰され、リスクを回避し続ける性格分布に偏る現象を利用し、騒音問題のある環境下でも同様の現象が起こっているか室内・野外実験で調べる。具体的には、まず、アオウミガメの性格であるBold―Shy分布を調べ、性格に応じて摂餌と逃避の時間配分が異なるか検証する。 今年度は、昨年度設定した実験プロトコルにしたがって、野生個体を用いて野外で音刺激に対するプレイバック実験を行うはずだった。しかし、混獲個体が極端に減少したことで実験個体を確保できなかったことに加え、野外での実験施設も使用できない状況になり、個体数を増やすことができなかった。そのため、目的を明らかにするための実験個体数を増やすことができなかった。そのため、水槽内で2個体のヒメウミガメを対象に、同様のプロトコルで実験を行い、音に対する反応を詳細に調べた。 その結果、音の種類に関わらず、音が鳴った直後、心拍間隔が長くなり、短時間の徐脈を示した。この短時間の徐脈の後、着底しながら警戒する時は徐脈傾向を維持する。一方、この短時間の徐脈の後、逃避(音と反対方向に移動した場合、逃避とみなす)するときは、体は動いていなくても頻脈傾向になる。このようなヒメウミガメにおける音に対する反応は、行動に現れなくても、心拍変化に現れており、警戒の程度によって心拍変化の仕方が異なる可能性が示された。しかし、個体数が少なく、性格の特定及び、摂餌行動との関係を調べることができず、今後の課題とする。
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