2023 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the mechanism of range expansion of sika deer in heavy snowfall areas using a high-resolution snow model
Project/Area Number |
21K12335
|
Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
深澤 春香 (大橋春香) 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60868066)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小南 裕志 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70353688)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ニホンジカ / 積雪 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
日本に生息する代表的な大型有蹄類であるニホンジカ(以下シカ)は、1970年代頃まで分布が寡雪地域に限られていたことや、蹄の面積が狭く雪に沈みやすいという形態的特徴から、多雪地域には生息できないと考えられていた。しかし近年、ニホンジカが多雪地域にも分布を拡大し、生態系管理上の問題となっている。この原因として積雪期間の減少が関与したとされるが、ニホンジカの分布拡大は積雪の減少よりも早く進行しており、未知の要因の関与が疑われる。本研究では、積雪とシカの分布との間にある物理的・生態的な因果関係を統合化したエージェントベースモデルを開発し、近年の多雪地域における急激なシカの分布拡大を促進した要因を解明することを目的とする。
2023年には、昨年度作成した、高解像度の積雪マップをもとに、調査地域である長野県北西部を1-2月に踏査し、最新のニホンジカの越冬状況を確認した。調査を実施した2023-2024年の1-2月は例年になく積雪が少なく、白馬村周辺の山麓部には積雪が50cmよりも少なく、場所によってはクマイザサやハイイヌガヤが露出していたが、少なくとも踏査した範囲ではニホンジカの痕跡は確認できず、住民への聞き取りでも、冬季のシカの生息は全く確認できなかった。一方で、南に位置する大町市では、ニホンジカが雪から露出したクマイザサを集中的に採食した痕跡が発見されるなど、越冬している可能性が高いことが確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の育児に伴い、2022年以降、研究活動の可能な時間が大幅に制限されていることの影響により、計画が全体的にやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、最終年度に当たるため、積雪とシカの分布との間にある物理的・生態的な因果関係を統合化したエージェントベースモデルを完成させる。
|
Causes of Carryover |
当初3年間の予定で研究費を申請したが、研究代表者の出産・育児により研究が中断し、進捗が遅れてしまったため、研究期間を1年間延長したため。
|