2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of pesticide ecotoxicological characterization factors consistent with toxic action modes and their application to crop protection decisions
Project/Area Number |
21K12345
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
湯 龍龍 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主任研究員 (30737359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 清忠 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主席研究員 (40355475)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ライフサイクルアセスメント(LCA) / 農薬 / 生態毒性 / 作用機構 / 防除戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
水田農薬109成分を対象に、毒性と作用機構を考慮した生態毒性影響評価係数を算定し、線形的な計算方法に基づく既存の影響評価係数と比較した。また、慣行栽培から農薬成分数を削減する特別栽培への防除戦略の切り替えを対象とした事例評価に向けて、農薬散布量データの収集ならびに環境中への農薬排出量の算定を行った。 既存の生態毒性影響評価係数の計算は、農薬の毒性データ(HC50)のみ考慮される。本研究が算定した非線形の生態毒性影響評価係数は、HC50のほか、農薬ごとの生物種の感受性分布(SSD)の傾きと農薬の環境予測濃度データ(PEC)を考慮している。両方法で算定される生態毒性影響評価係数を比較した結果、線形の方法ではSSDの傾斜が急な成分ほど、影響評価係数が過大評価され、SSDの傾斜が穏やかな成分ほど、逆に過小評価されることが分かった。農薬成分の作用機構はその成分のSSDの傾斜に大きく影響するため、作用機構の考慮がより精緻な生態毒性影響評価係数の算定に貢献することが示唆された。 事例評価については、まず、慣行栽培から特別栽培に切替える防除戦略を取る8水田農場の農薬散布量データを収集した。つまり、同じ農場で行われる慣行と特栽の農薬散布履歴を8農場で収集した。次に、筆者らが開発した水田農薬の排出量推計モデルを用いて、農薬散布量から環境中(大気、淡水、地下1m)への排出量を算定した。その際に、考慮したパラメーターは、成分名、成分重量、剤型(粒剤、液剤)、散布月、散布方法(ブームスプレーア、フロアブル)であった。 これにより、環境中への農薬排出量に生態毒性影響評価係数を乗じることによって、両防除戦略の生態毒性影響の評価とその比較が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目は、影響評価係数の算定を終了し、農薬排出量の算定ならびに事例評価の実施を開始する計画であった。「研究実績の概要」の箇所で説明したように、各研究項目の進捗状況はほぼ予定通りであり、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度において、データ収集ができた水田農場に対して、両防除戦略の生態毒性影響の評価と比較を実施する。そのうえで、防除戦略の変更が生態毒性に与える影響とその要因を特定する。得られた成果については、科学雑誌への論文投稿および国際会議等での公表に努める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額514,947円は、研究費を効率的に使用して発生した残額である。
次年度使用額は、次年度に請求する研究費とあわせて、論文投稿料、並びに成果発表のための旅費の一部として使用する。
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