2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the structure of urban residents' insecurity toward inclusive, safe, resilient and sustainable cities
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21K12346
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿部 直也 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (30323819)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 都市住民 / 不安 / 安全 / レジリエント / 持続可能な開発目標 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、新型コロナウィルスの感染状況をふまえて対面によるヒアリング調査や現地調査が困難であったため、当初の研究実施計画を調整しつつ、客観的な側面としての安全と、主観的な側面として、安心・不安に関して、主に既往資料(既往研究、報道記事、および関連する自然災害情報(主に水関連))を通じてレビューを行った。また、都市住民が感じている不安対象や要因構造を把握するため、初期調査として行う計画になっていたインタビュー調査やプレテストの対象地の選定を行うため、台風による水害の時系列的変遷に着目した。近年、台風や集中豪雨による都市部における水害の発生頻度は高くなっており、その背景には、気候変動による影響が指摘されるとともに、居住人口の都市部への集中や、水害を被りやすい脆弱な地域や建物に居住する人口の増加も想定される。そこで、台風被害に関する情報も基づき、地域の分類を行った。具体的には、国立研究開発法人防災科学研究所が提供している台風災害データベースシステムに着目し、同システムが提供する台風被害情報(人的被害や建物被害)のうち、過去10年間のデータの整理に基づき、都道府県の類型化やその被害の類型化を行い、調査候補地を絞り込みを行った。その結果、鹿児島県は台風の通過経路にあるためか、比較的高い頻度で台風による被害を受けていた。一方、千葉県は近年になってその被害が増加する傾向にあり、台風自体の経路や勢力の変化による影響に加えて、都市近郊の住宅地域の拡大傾向と関連している可能性が示唆された。また、同データベースは人的被害と建物被害を区別しており、両者は次元が異なるため直接的比較が困難だが、必ずしも線形的な関係にあるわけではないことが確認された。今後、これらの都道府県における都市を主な対象地域として研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの感染状況により、研究活動の制約が生じているが、大幅な遅延はなく概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、初年度の成果を踏まえてヒアリング調査およびプレテストを行う。また、調査対象とする都市の選定を確定するため、初年度の結果に加えて、都市ごとの人口動態、年齢構成、居住歴、所得分布、物価水準、水道料金の格差など考慮し、都市の分類作業を並行して行う。3年目は、初年度及び2年目の成果を踏まえて、民間調査会社に委託してオンライン・アンケート調査の内容を確定し、実施する(対象とする都市は3都市程度を想定)。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染状況を考慮し、当初予定してヒアリング調査などの実施の前に、対象地域の絞り込みを先行して行うことにしたため、謝金の支払い予定などが次年度へ移ったため。
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