2021 Fiscal Year Research-status Report
地域振興に資する自然保護区運営のための協働促進の方法論の構築と実践
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21K12348
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北村 健二 金沢大学, 先端科学・社会共創推進機構, 研究員 (10733959)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 里山里海 / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度においては、地域事例として、世界農業遺産認定地域である石川県能登半島地域における協働プロセスの分析を実施した。具体的には、能登地域における里山里海の保全と利活用の担い手となる地域人材を育成することを目的とした社会人向け講座である金沢大学「能登里山里海マイスタープログラム」を対象とし、受講を通じて移住や人的ネットワーク構築がどのように促進されたかについての検証をおこなった。また、能登里山里海マイスタープログラムを始めとする地域での一連の取り組みを基盤として、石川県珠洲市が内閣府から「SDGs未来都市」に認定されたことを受けて開設された「能登SDGsラボ」の活動を、ランドスケープの視点から分析した。一方、方法論に関する研究としては、研究代表者らが以前に開発し、一般市民、学生、研究者などとともに実践を重ねた漁業資源管理ゲームFish & Chipsの設計概念や実践結果を再整理した。このゲームは、環境と経済の間のジレンマと、競争と協力の間のジレンマを同時に体験できる設計となっており、有限な自然資源の量と経済規模の両方を同時に維持していくことの難しさが表現されている。個々の漁業者としての各プレイヤーは相互に協力しないと全体的な目標の達成は困難となるが、その一方で相互には競争の関係もあり、バランスと使い分けの判断が求められる。このように現実世界のシミュレーションとしてのゲームを体験することは、持続可能な開発目標(SDGs)を「自分ごと」として理解し、各自の行動につなげるための一助にもなりうることから、学習効果の検証や、学習目標に合ったゲームの選定や独自開発などに関する予備的な研究も実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予想を上回るコロナ禍の長期化により、国内・海外の事例調査の実施が困難であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症や紛争など国内外の動向を見極めながら、事例調査に向けて準備を進める。また、対話・学び合い・協働を促進する仕組みやファシリテーションについて、引き続き実践しながら検討を重ねていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により国内・海外とも現地調査が困難な状況が長期化したため。2022年度以降、国内外の状況を見極めて、現地調査の計画を練り直して実施していく予定。
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