2023 Fiscal Year Research-status Report
地域振興に資する自然保護区運営のための協働促進の方法論の構築と実践
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21K12348
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
北村 健二 追手門学院大学, 国際学部, 准教授 (10733959)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 実践共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実績として次の3点を挙げる。第1は能登における実践研究である。国連食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産に認定されている「能登の里山里海」や、持続可能な開発目標(SDGs)との関連により地域づくりが進められている石川県能登半島地域に関して、これまで研究協力者らとの議論を重ねつつ実施してきた研究の成果をまとめ、国際学術雑誌に論文を発表することができた。この論文においては、里山里海という魅力的なフィールドをもつ能登地域に多くの大学の研究者や学生がフィールドワークに集まることに着目し、このような外部からの訪問型フィールド研究によって生み出される知見を、地域コミュニティが主導する形で収集し、必要に応じて随時検索・参照が容易にできるような双方向型のデータベースを構築することが有効であることを示した。このようなデータベースを活用した知識共創は、地域に欠けていること(課題)だけを見るのでなく、むしろ地域が既に有している強み(資産)に着目する点で、資産にもとづくコミュニティ発展(Asset-Based Community Development;ABCD)の理論とも親和性があり、それが地域において進展する過程で社会協働型の実践共同体(Transdisciplinary Community of Practice)の形成と発展も期待できることを論じた。
第2は、中米コスタリカでの事例調査である。民有地における森林保全を可能にする制度や仕組みについて調査を続けており、2023年度に現地訪問をすることができため、利害関係者の詳細分析のための基礎的なデータ収集を図った。
第3は、地域づくりにおける側面支援の役割に関する実践研究である。長崎県対馬市を事例対象の一環として調査しており、2023年度においてはその中間成果を発表するとともに、新たな事例の調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症のまん延で遅れていたい海外現地調査のうち、コスタリカでの調査を実施することができたことで大きな前進があったが、全体として研究期間初期の遅れを完全に取り戻すには至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
国内・海外の事例調査の結果をまとめ、成果の発信を図るとともに、本研究の成果を活用しつつ今後取り組むべき新たな研究の構想を整理する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のまん延により、研究期間初期に計画していた海外現地調査が延期されたことから、全体的に予算執行も後ろ倒しとなっているため。研究期間終盤となる2024年度は、現地調査を計画的に実施していく予定である。
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[Journal Article] Formation of a Transdisciplinary Community of Practice in Rural Areas, with an Interactive Database of Co-created Knowledge: A Case Study in Noto, Japan2023
Author(s)
Kitamura, Kenji, Yasuko Kinoshita, Koji Ito, Sakiko Kawabe, Hideki Kobayashi, Haruka Naya, Hiroaki Sugimori, Yoshihiro Takata, Manabu Teraguchi, and Chiharu Baba
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Journal Title
Gateways: International Journal of Community Research and Engagement
Volume: 16(2)
Pages: 1-14
DOI
Open Access
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