2021 Fiscal Year Research-status Report
洋上風力発電の大規模導入による地域エネルギーシステムの脱炭素化と新たな価値の創出
Project/Area Number |
21K12361
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
古林 敬顕 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (40551528)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | エネルギーシステム / 洋上風力発電 / 脱炭素化 / 地域 / 価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、洋上風力発電の大規模導入を考慮して、脱炭素社会に向けた地域エネルギーシステムをデザインするとともに、再生可能エネルギーの地産地消が地域に創出する価値を明らかにすることを目的とする。また、地域の脱炭素化に向けて求められる技術、政策、インフラなどを明らかにして、研究成果を県や市町村等の地域自治体や地元企業と共有することで、再生可能エネルギーの社会実装を後押しして、地域の脱炭素化及び新たな価値の創出に資する。 1年目では、空間情報に基づく洋上風力発電の賦存量分布の分析、空間情報に基づくエネルギー需要分布および時間変動の分析、洋上風力発電のインベントリ分析を行った。 対象とする秋田県沖の海域をメッシュ状に分割して、各メッシュの洋上風力発電の賦存量を、平均風速、ワイブル分布および形状係数を用いて分析して、ポテンシャルマップを作成した。洋上風力発電の時間変動の分析に向けて、実測値および陸上の風況との相関などについて調査している。 都道府県別エネルギー消費統計および各統計データを元に、秋田県内の各市町村のエネルギー需要量を推計して、エネルギー需要マップを作成した。また、電力会社の公開データから、時間変動を分析した。 洋上風力発電の主要構成要素である風力発電機、港湾施設、変電所などに加えて、作成した洋上風力発電のポテンシャルマップおよびエネルギー需要マップから得られた発電量および地上までの送電線の長さを考慮した発電コストに関するインベントリ分析に取り組んでいる。 得られた成果は、16th SDEWES conferenceおよび第38回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンスにて発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね申請時の研究計画通りに進展しているため。ただし、対象とする全海域における洋上の風況の実測値は存在せず、一部の海域に限られるため、気象庁が公開している過去の風況データと、得られた実測値とを比較することで、実測値が存在しない海域の風況を推計する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
対象地域の洋上風力発電の時間変動の分析を進めて、エネルギー需要量と比較することでエネルギーバランスを明らかにする。 次に、余剰電力を、蓄電池や水素製造によるエネルギー貯蔵、送電線の増設を含む地域外への供給等に利用した場合のエネルギー効率、温室効果ガス削減量、経済性を、インベントリ分析によって定量評価する。具体的には、洋上風力発電およびエネルギー貯蔵技術、長距離送電のインベントリ分析を行い、洋上風力発電と各技術を組み合わせたエネルギー効率、環境性、経済性について分析する。 さらに、洋上風力発電の大規模導入を想定して、対象地域の電力、熱、輸送用燃料の需要を考慮した脱炭素地域エネルギーシステムをデザインする。得られた成果から、再生可能エネルギーの地産地消が地域に創出する価値を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で出張が制限されたことにより、出張費を繰り越すこととなった。また、独立基盤形成支援として3年間の経費を一括で受領したため、2年分の経費を繰り越すこととなった。次年度は出張への制限が緩和される見込みであり、繰り越した出張費は海外での国際会議やフィールド調査の実施で使用する予定である。また、独立基盤形成支援の経費は、予定通り地理情報システムのライセンスおよびデータベースの購入に使用する。
|
Research Products
(3 results)