2023 Fiscal Year Annual Research Report
洋上風力発電の大規模導入による地域エネルギーシステムの脱炭素化と新たな価値の創出
Project/Area Number |
21K12361
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
古林 敬顕 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (40551528)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 洋上風力発電 / 地域エネルギーシステム / 再生可能エネルギー / エネルギー貯蔵 / 経済循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に実施したエネルギー需給分布および時間変動の分析、次年度に実施した洋上風力発電とエネルギー貯蔵および長距離送電のインベントリ分析に基いて、亜j北権を対象とした脱炭素地域エネルギーシステムをデザインした。秋田県のエネルギー需要を、すべて洋上風力発電および現状の再生可能エネルギーで供給することを想定して、再生可能エネルギーの導入量や貯蔵量、需要家の機器の変化、経済循環効果、余剰電力の効率的な利用方法などを分析した。また、デザインした脱炭素地域エネルギーシステムのエネルギーフローおよびキャッシュフローを分析して、洋上風力発電の大規模導入が地域に創出する新しい価値について考察した。その結果、洋上風力発電を大規模導入することで、秋田県内のエネルギー需要量をすべて再生可能エネルギーで供給することは可能であった。また、洋上風力発電の発電量のピークは、沿岸部の陸上風力発電のピークと重複することが多く、洋上風力発電と陸上風力発電の連係によるピークシフトは困難であることが示された。さらに、洋上風力発電が大規模に導入された場合、他の発電技術も含めた再生可能エネルギーの負荷曲線は短時間で急激に減衰するため、再生可能エネルギーの出力に合わせて蓄電池を導入した場合、蓄電池の設備利用率が低くなり電力供給コストが割高となることが明らかとなった。 以上の結果から、洋上風力発電を含む県内の再生可能エネルギーが余剰となった場合には、一部の余剰電力は県内で消費するのではなく、県外に供給することが有用であるとの結論を得た。また、現状の県内の産業構造では、洋上風力発電の導入が地域経済に与える影響は限られているため、洋上風力発電に関連する産業を育てるとともに、県内の産業や業務で得られる製品やサービスは再生可能エネルギー100%である価値を内生化する評価が重要である。
|
Research Products
(5 results)