2022 Fiscal Year Research-status Report
空間ビッグデータを活用した将来の汚水処理システムの持続可能性に関する研究
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21K12362
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
秋山 千亜紀 (水谷千亜紀) 筑波大学, 生命環境系, 客員研究員 (20714166)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 汚水処理システム / 空間ビッグデータ / 持続可能性 / 下水道接続率 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、個人が特定されないように処理をされたモバイルビッグデータによって、推定昼間人口を建物毎に按分し、時間的な人口分布の再現に取り組んだものの、下水道事業主体である自治体にとっては応用の制約が大きいことが分かり、今年度は簡易的な手法の検討を試みた。 具体的には、将来的な下水処理区域の広域化・共同化の可能性を検討するため、広域な処理区を有する汚水処理施設である流域下水道事業を対象に、各処理区内とその周辺の将来推計人口を用いて、将来設定するべき下水道処理区の範囲を簡易的に設定する手法の検討行った。まず流域下水道の各処理区を表すポリゴンデータと2010年の将来推計人口メッシュを空間結合し、処理区毎に2010年から2050 年までの10年毎の将来推計人口の推移を集計した。そして、処理区内推定人口が2010 年比で1.0未満となった処理区において、近隣のメッシュを処理区に統合することで、その不足分の人口を補充することを想定した。しかしながら、将来推計人口の中でも年少人口・生産年齢人口・老齢人口という年齢区分に着目すると、既往研究により高齢者のみの世帯では、私費を投じる必要のある浄化槽から下水道への切り替えるインセンティブが高くないことが指摘されているため、下水道接続率の違いによるシナリオを導入した。その結果、対象とした愛知県においては、処理区の隣接部を統合することで、概ね将来の下水道利用人口の維持が可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に示す通り、処理区域ポリゴンと将来推計人口メッシュを突合させて、処理区毎に将来推計人口が2010年時点の処理区内人口を維持できるのか2050年までの推移を10年毎に把握した。人口規模を維持できない場合は、処理区に隣接するメッシュを統合させる、つまり処理区を拡大させることで処理区内の人口維持を図った。また将来推計人口から老齢人口に着目し、処理区を拡張した際に実際に下水道への接続率によってシナリオを想定した。また学会発表を通じて、処理区拡大に伴うコスト面の試算についてもアドバイス頂いており、より内容を充実させていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,これまでの実施経験を活かして,コストの試算など内容を充実させる方向に推進したい。
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Causes of Carryover |
当初,本予算で購入を予定していたデータについて,別予算での購入が可能となったため次年度使用額が生じた。これを受けて今年度は,集計方法を見直すなどして,別途データの購入を検討したい。
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