2021 Fiscal Year Research-status Report
再生可能エネルギー主力電源化に向けた複数案検討による持続可能性アセスメントの検討
Project/Area Number |
21K12364
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
錦澤 滋雄 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (70405231)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 環境紛争 / 太陽光発電 / 風力発電 / 分散型エネルギー / 持続可能性アセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
環境配慮と地域便益の両面を考慮した複数案検討のあり方を解明するという本研究課題の目的を達成するため、初年度である令和3年度は研究計画を踏まえて以下の点について作業を進めた。①太陽光発電施設に関する環境紛争事例の調査とデータ整理:全国を対象にELNETデータベースを用いて網羅的に新聞記事を調査し太陽光発電事業に関する環境紛争事例について74件の事例を抽出した。その上で、発電規模、立地場所、立地特性、紛争論点、紛争後の状況などについて情報を整理し一覧表を作成した。②地域便益の方策に関する事例調査:地域便益の一方策として再生可能エネルギーで発電した電力を地域で自家消費する方策(分散型エネルギー)が一部地域で進められている。その具体事例として国内のソーラーシェアリングの事例について、宮城県気仙沼市、兵庫県豊岡市、広島県安芸高田市の3事例を対象に実地調査し、事業者や自治体を対象にインタビューした。これにより、エネルギー自家消費の仕組みやソーラーシェアリングの営農形態など先進事例に関する情報を得ることができた。また、風力発電施設については、中国上海市で実施されている分散型エネルギーの事例について調査し、この取り組みが地域の受容性に及ぼす影響についてアンケート調査を実施した。③再生可能エネルギー関連計画に関する調査:自治体で策定が進められている再生可能エネルギーに関連する計画について収集し、その内容を把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的で設定した、「①環境紛争の要因解明」については太陽光発電施設を対象に目的が達成できたこと、②「環境配慮と地域便益の両面を議論することの合意形成上の利点の解明」については、エネルギー自家消費型の事例についてアンケート調査を実施して具体的なデータが得られたこと、また再生可能エネルギー計画についても情報が収集できたことから、上記の通りの評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の研究成果を踏まえて、地域便益の創出に関する方策・事例、それらを検討している再生可能エネルギー計画について情報を収集する。特に太陽光発電についてはソーラーシェアリングが地域便益の創出につながる可能性があり、この点に着目した調査ならびに事例を選定することを検討している。また、中国上海市で初年度に実施した事例研究を研究論文にまとめて学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
概ね予算の総額に準じて使用したが、年度最終月の新聞記事検索にかかる費用の金額を安全をみて残していたことから若干の余剰が生じた。
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