2023 Fiscal Year Research-status Report
日本・タイを主とした漁業者主導クラブバンクの水産資源管理に関する実態と評価
Project/Area Number |
21K12368
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
岩崎 慎平 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (20708028)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クラブバンク / 漁業 / 史的変遷 / 活動継続性 / ワタリガニ / マングローブガニ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、クラブバンクと呼ばれる水産資源管理手法に着目し、同手法の導入漁村を対象とした社会水産調査を行い、漁業者主導の責任ある漁業の可能性を検証することを目的とする。クラブバンクとは、漁業者が抱卵ガニ(主にワタリガニ)を捕獲後、幼生が孵出するまでの間、抱卵カニを保護する取組のことを指す。本研究では、①「クラブバンクの取組が日本およびアジア(主にタイ)でどのように普及されたのか」(史的変遷の整理)、②「クラブバンクの運営を成功に導く要件とは何か」(成功・失敗要因の検証)の2点を本研究の学術的な問いとして設定し、以下の取組を実施した。 本年度は、タイとマレーシアとインドのクラブバンク導入団体(タイ4団体、マレーシア1団体、インド1団体)を訪問し、①と②に関連するインタビュー調査を実施した。それらの結果から、例えばタイのクラブバンクについて、試行期(70年代以降の抱卵ガニの保護試行)、安定期(2000年前後の外部機関支援に基づく団体数の増加)に区分できることが明らかとなった。また、クラブバンクの運営方式においても、過去の失敗を糧に水上畜養型から陸上畜養型に移行する傾向があることを明らかにした。次年度以降も文献収集および現地調査を行い、①と②の研究課題を整理・分析し、上記2点の問いについてより具体的に検証を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は外国におけるクラブバンク活動の情報収集に努めた一方、日本の取り組みについて現地調査を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
日本・タイ・マレーシア・インドで現地調査を実施する。また、現地カウンターパートナーとの連携の下、オンラインで定期的なコミュニケーションを図り、情報収集に努める。
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Causes of Carryover |
調査委託を含めた現地調査の一部を実施できなかった。本研究では現地でのフィールド調査をベースとしており、相当額の旅費がかかるため、本年度予算の一部を次年度に繰り越すことにした。
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