2021 Fiscal Year Research-status Report
パブリックガバナンスとプライベートガバナンスの共進化と新機軸の環境ガバナンス論
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21K12371
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
宮永 健太郎 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (90393181)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 環境ガバナンス / プライベートガバナンス / パブリックガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
はじめに、研究初年度ということで、まずプライベートガバナンス論に関する学術文献サーベイに着手し、研究ドメインとしての現状や今後の展開可能性について検討を行った。具体的には、「ソフトロー(soft law)」「プライベートスタンダード(private standard)」「市民規制(civil regulation)」「フォーマルとインフォーマル(formal and informal)」「透明性(transparency)」「アカウンタビリティ(accountability)」といったキーワードを抽出しつつ、既存の学術的知見について環境ガバナンスの視点から理論的・概念的な整理を行った。 また、パブリックガバナンス論についても改めて学術文献サーベイを行い、「多中心的ガバナンス(polycentric governance)」「メタガバナンス(metagovernance)」「順応的ガバナンス(adaptive governance)」といったキーワードのプライベートガバナンス論への接合可能性について検討した。 そして、一般社団法人滋賀グリーン活動ネットワークの会員企業・団体を対象に予備ヒアリング調査も行い、各関係主体との連携・協働状況や地域内での具体的な機能・役割などを明らかにするとともに、パブリックガバナンスとプライベートガバナンスの関係構造に関するファクトファインディングに努めた。 最後に、各種研究会・シンポジウムに参加し、環境ガバナンスに関する最新動向の収集に努めるとともに、2022年度の研究計画実施に備え、持続可能な発展論やその関連領域(循環型社会、脱炭素社会、自然共生社会)に係る学術文献収集も併せて実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学術文献のサーベイ・収集について順調に実施できたことに加え、プライベートガバナンスに関する既存の理論的知見についても一定の整理ができた。予備ヒアリング調査や研究会・シンポジウムへの参加を通じた最新動向の把握についても、ある程度達成することができた。 一方、分析フレームワークの具体的な構築やその本格的な適用については、2022年度に持ち越されることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、研究計画に則る形で、以下の課題に従事する予定である。 まず、プライベートガバナンス論とパブリックガバナンス論について引き続き学術文献サーベイを行うとともに、それらの理論的接合の可能性を探る。 そして、2021年度の予備ヒアリング調査や知見収集も踏まえ、本格的な実態調査に乗り出し、日本におけるプライベートガバナンスとパブリックガバナンスの統合的発展の可能性について検討する。加えて、研究のブラッシュアップを兼ねて、国際学会(IASC, International Association of the Study of the Commons)で報告・議論を行うべく準備を進める。
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