2021 Fiscal Year Research-status Report
Effect of decision process for site selection procedure on social acceptance of siting repository for High-level radioactive waste
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21K12375
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大澤 英昭 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 東濃地科学センター, 研究主席 (70421633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沼 進 北海道大学, 文学研究院, 教授 (80301860)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 功利主義 / ロールズ主義 / 手続き的公正 / 分配的公正 / 高レベル放射性廃棄物 / 地層処分 |
Outline of Annual Research Achievements |
サイト選定方策(申し入れ・公募方式;功利主義(最多の人に最大の利益をもたらすような地域)、スクリーニング方式;ロールズ主義(最も安全性の確保ができる地域))と補償方策(金銭補償、福祉向上補償)に関し、場面想定を操作した仮想シナリオ実験を実施し、サイト選定手続きの受容、補償方針の受容、サイト選定手続きと補償方針をあわせた方針全体への受容、個人的便益、社会的便益、サイト選定手続きの公正、手続き的公正、地域間公正、立地受容の評価に違いがでるかどうか確認した。その結果、申し入れ・公募方式よりスクリーニング方式の方が、補償方針に関わらず、サイト選定手続の受容、サイト選定手続きの公正、世代間主観的規範がポジティブな評価になること、福祉向上補償より金銭補償の方が、サイト選定手続き方針に関わらず、リスク認知がネガティブな評価になっていた。また、サイト選定方策と補償方針を提示する前後で比較すると、スクリーニング方式/福祉向上補償の政策の組み合わせの提示が、最も手続き的公正に影響を与えていること、サイト選定方策の受容、補償方針の受容、方針全体の受容を比較すると、スクリーニング方式の場合、サイト選定手続の受容は高いが、補償方針あるいは方針全体では、金銭補償、福祉向上補償どちらでも、受容は低くなること、が確認できた。 また、当事者となり得るが、自分の住む地域の地下の科学的特性がわからないという無知のヴェールを被せた状態で、サイト選定で重視すべき科学的特性について議論をとおして優先順位を付け、それに基づきサイトを選定する、というゲームを実施した。その結果、誰もが当事者となり得るという無知のヴェール状況を出発点とした上で、事前にサイト選定で考慮すべき優先事項に合意することが有効である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度の仮想シナリオ実験を行うにあたり、サイト選定方策のうちスクリーニング方式の方が公募・申し入れ方式よりポジティブな評価になっていること、補償方針については金銭補償と福祉向上補償では違いがでてこないことが確認された。今後、補償方針のみでは影響が認められなかったため、方策の決め方(国がトップダウンで決定、市民参加で意見を反映させて決定)も含めて考慮する必要があると考えられる。また、次年度以降、多段階プロセス(地層処分政策決定、サイト選定方策決定、サイト選定)のゲーミングを作成するにあたり、誰もが当事者となり得るという無知のヴェール状況を起点に、事前にサイト選定で考慮すべき優先事項に合意する、といったゲームを設計することが必要であることが確認できた。これら、令和3年度の進捗については、当初計画通りであることから、おおむね順調に進展している、と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、令和3年度に対象としたサイト選定方策(申し入れ・公募方式、スクリーニング方式)に、全地域平等分散方式;平等主義(全地域でリスク分散))を加えるとともに、方策の決め方(国がトップダウンで決定、市民参加で意見を反映させて決定)などの因子も含めて場面想定を操作した仮想シナリオ実験を行い、立地受容と手続き的公正及び分配的公正などに与える影響と、各々の因子の相乗効果などを把握する予定である。これらの結果に基づき、サイト選定方策の選定に焦点をあて、サイト選定方策の決定からサイト選定に至る全体の流れを模擬した多段階プロセス(地層処分政策決定、サイト選定方策決定、サイト選定)のゲーミングを作成・試行する予定である。
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Causes of Carryover |
仮想シナリオ実験などの設計に時間がかかり、令和3年度中に全地域平等分散方式を含めた実験にまで至らなかったために次年度使用額が生じた。 令和4年度は、令和3年度に対象としたサイト選定方策(申し入れ・公募方式、スクリーニング方式)に全地域平等分散方式)を加えるとともに、方策の決め方(国がトップダウンで決定、市民参加で意見を反映させて決定)など因子の数を増やして、場面想定を操作した仮想シナリオ実験を行う。
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Research Products
(1 results)