2023 Fiscal Year Research-status Report
排外主義に抗するチベット難民音楽文化と「文化交流基盤型共生モデル」
Project/Area Number |
21K12383
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山本 達也 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (70598656)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | チベット難民 / ヒマラヤ系民族 / 文化交流基盤型共生モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度において、筆者は継続的にネパールにて一カ月の調査を実施し、本研究課題が抽出しようと試みる「文化交流基盤型共生モデル」に資するデータを収集した。具体的には、カトマンドゥで活動するチベット難民歌手とヒマラヤ系民族の歌手たちにインタビューし、また彼らの活動に対して参与観察することで、彼らのレコーディングにおける共働の様相や作詞作曲作業の分担、その他の指導に関わるデータを収集した。これにより、彼らが文化を基盤として共生を進めている状況を観察することができた。 また、本研究課題でこれまで蓄積してきたデータや実績の一部を論集『そして私も音楽になった-サウンド・アッサンブラージュの人類学』に「繋がりを手繰り寄せる/選り分けるー社会的存在としてのチベタン・ポップ」を寄稿し、研究実績とした。ここでは、チベット難民の歌手とヒマラヤ系民族に出自を持つ歌手がチベット音楽をめぐってそれぞれの視点から関与する中で生じる様々な創造性や葛藤について記述した。この論稿を基盤として、本研究課題に関する今後の研究実績を積み重ねていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は一カ月間の調査を実施したことでコロナ禍の状況では手に入れることのできなかったデータを収集することができ、研究の進展を実感し、また、上記成果を公開することもできた。令和6年度に開催される国際学会The International Convention of Asian Scholarsでパネルを企画し、議長を務めるなど、本研究課題に関わる他領域の研究者との関係構築も進み、成果公開に向けての方向性も見えてきているなど、概ね良好な進捗状況であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記、令和6年度に開催される国際学会The International Convention of Asian Scholarsで様々な研究者と交流し、本研究課題の国際的な発信の可能性を模索するとともに、現在不足している本研究課題の視点について意見を聞く機会とする。その後、8月から9月には補足調査を実施し、それらを統合して成果公開となる論文を数本国内外の学会誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
令和5度は1カ月の調査を実施することができた一方で、当初予定していた国際学会への渡航や補足調査を実施することができなかった。令和6年度にその分の予算を補填することで補足調査や国際学会への参加費としたい。
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[Presentation] Comments2023
Author(s)
Tatsuya Yamamoto
Organizer
International Symposium Global Youth Dynamics and ‘Reality’ Negotiation in East Africa and South Asia: Gender, Diversity, Agency
Int'l Joint Research / Invited