2021 Fiscal Year Research-status Report
Conditions for sustainability of farming associations mainly growing rice as part-time jobs: Typology of cases in Japan and Thailand
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21K12389
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
星川 圭介 富山県立大学, 工学部, 教授 (20414039)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 集落営農組織 / 兼業稲作 / スマート農業 / 常時雇用 |
Outline of Annual Research Achievements |
富山県砺波市および射水市の集落営農法人6組織を対象として,各法人の役員から法人設立の経緯や現在の営農状況,今後の課題等に関して聞き取りを行った.これに加え,2021年12月に公表された「2020年農林業センサス」を用いて営農の組織化の動向に関する定量的分析を進めた. 砺波市では庄川扇状地の頂部や中山間地域など一部を除いて大規模経営体への農地集約が続いているものの,農事組合法人や会社法人などの新規設立数には頭打ち傾向がみられた.常時雇用者を抱える集落営農はほとんどなく,調査した限りにおいて常時雇用を目指す組合も存在しなかった.常時雇用を実現するには,作目や事業の多角化に加え,従業者当たりの経営面積を増加させる必要がある.また,場合によっては集落全体や組合構成員の利益よりも法人としての組合の利益を優先させざるを得ない局面も想定される. しかし現実には,高収益作物やスマート農業の導入,経営の多角化の状況などからは,集落営農の運営方針が組合員の満足度を最大化するべく決定されていることが示唆された.満足度とはすなわち,省力化,組合員への利益の還元,高齢組合員の雇用・賃金労働の場の創出等である.これに基本的な目的としての集落における水田の維持機能が加わる形で組織運営がなされている.つまり対象地域でみられた農事組合法人は集落の公器であって,集落と分離した経営体として利益を追求する方針とは本質的に相いれない.時間の経過とともに現在の集落営農組織が常時雇用を抱える経営体へと徐々に移行することはなく,組合員が高齢化する中で,会社法人への吸収や全経営農地の貸与といった何らかの不連続な変化に帰結する可能性も考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一年目に予定していたタイ東北部における現地予備調査が,渡航制限のため実施できなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
渡航制限が緩和され,タイも外国人からの入国を受け入れる方向を示していることから,2022年9月以降,2021年度未実施分と合わせた現地調査を行う. また国内を対象とした予備調査は順調に進んでおり,今後はこれまでに得られた情報に基づいて集落営農組織をはじめとする法人組織を対象とした郵送アンケートを実施する.
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Causes of Carryover |
申請段階において令和3年度の経費はすべてタイ王国における現地調査にかかる旅費と謝金として計上していたものであったが,海外渡航不可のため全額次年度使用となった.繰越額は令和4年度の調査業務を現地に委託するなどの事業効率化に充当するほか,現地への渡航が可能になった場合には,令和4年度以降の渡航回数を計画より増加させて調査の進捗を図る.
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