2021 Fiscal Year Research-status Report
コプト正教会のアフリカ宣教活動とその影響についての総合的研究
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21K12402
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
三代川 寛子 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (90614032)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | コプト正教会 / 汎アフリカ主義 / エチオピア / ケニア / エジプト |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度中は、海外出張を行うことは出来なかったが、その前に必要な文献調査に取り組んだ。論文としては、"The Coptic Orthodox Mission in Kenya: An African Search for Identity and the Coptic Encounter with Africa", Sophia Journal of Asian, African, and Middle Eastern Studies, (39), 69-86, 2021を刊行し、学会発表としては、オンライン開催の北米中東学会にて"The Coptic Orthodox Church as an “African” Church"と題するプレゼンテーションを行った。 上述の論文の中で、コプト正教会は歴史的にエチオピアの教会と関係が深かったが、20世紀前半の数十年の間、国民国家形成に伴いエチオピアの教会はエジプトのコプト正教会からの独立を目指し、ようやく1959年に独立を得たことを指摘した。その背景にはエジプトおよびエチオピア双方に地域的帰属意識の転換があり、エジプトは「ナイル川流域」から「アラビア語圏(アラブ人としての連帯)」へ、そしてエチオピアは「東洋」から「アフリカ」へと自らの地域的帰属意識を変化させたことが教会の独立に大きな影響を与えたという点を指摘した。 また、同論文の後半では、ケニアにコプト正教会が進出したことの背景を明らかにした。ケニアには、西洋人の宣教師たちの教会から独立し、土着の文化を守りつつキリスト教の信仰も保持する「アフリカ独立教会」が存在するが、主としてその教会出身者が「アフリカ土着のキリスト教会」としてコプト正教会に転会した経緯を明らかにした。ケニアの事例は広範な地域の多様な人物が関わっており、状況は複雑であるが、それをひとまず整理することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研プロジェクトでは、ケニアおよび南アフリカを事例として研究を進める計画であるが、最初にケニアの事例を取り上げ、文献による調査を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、ケニアにおける現地調査を行っていきたい。2022年度前半は現地調査の下準備をし、後半に実際に現地を訪問したい。ケニアの事例についてある程度まとめたら南アフリカの事例に取り組んでいきたい。
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Causes of Carryover |
海外の学会がオンライン開催になり、旅費が不要になった。また、必要な参考資料は図書館で借りられるものが多かったのと、電子書籍を購入したため図書費が節約できた。
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Research Products
(2 results)