2023 Fiscal Year Annual Research Report
Network-based financial transactions in Islamic areas and analysis of their values in the context of the religion and SDGs
Project/Area Number |
21K12403
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
吉田 悦章 同志社大学, ビジネス研究科, 教授 (60506351)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イスラーム金融 / フィンテック / デジタル銀行 / シャリーア / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は本研究の最終年度として、纏め作業を中心に行った。研究期間全体を通じて、次のような成果が得られた。まず、情報通信技術の急速な進展により、それを大いに活用した取引事例は多くみられ、とりわけコロナ期を経た後に急増した印象を受ける。しかしそれらの中身をみると、本研究の計画時点で想定したような、教義(シャリーア)的価値を追求するような金融取引は必ずしも多くはみられない。 例えば、イスラーム金融の先進国であるマレーシアにおいては「イスラミック・デジタル銀行」のライセンス制度も設けられ、2つの銀行に免許が付与された。しかしながら、それらは「店舗型中心の金融機関」が「デジタル銀行」の免許を得たものと整理でき、決して「インターネットによる効率的なネットワーキング機能を活用して、イスラームの教義理念を求めた取引を目指している」とは言い難い。 一方で、イスラームの伝統的な所得再分配制度であり、貧困削減等教義の理念に資する制度にザカートと呼ばれる「義務的な寄付」があり、そのオンライン取引化もインドネシア等を中心に進んでいる感がある。ところがそれらも、結局のところ「ザカートの支払(送金)を効率化するもの」という側面が強く、オンライン取引化でザカートが著しく増加したということもないと評価することができる。 上記のような研究成果は、学説や外国を中心とする研究動向との関連において、情報通信技術の隆盛が教義重視型取引の増加に繋がっていない(SDGsの実現も目指していない)として、消極的に結論づけることに学術的意義を見出すことができる。一方で、(情報通信技術の活用によりやりやすくなったはずの)教義重視型の取引を促進するためにはどうしたらよいか、という新たな研究課題の着想にも至り、これは今後の作業としたい。それらを含めて、これまでの成果を刊行する作業を今後進める予定である。
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Research Products
(2 results)