2023 Fiscal Year Research-status Report
世界商品とアグロフォレストリー:生態人類学的アプローチによる地域間比較研究
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21K12404
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安岡 かがり (四方篝) 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特定研究員 (80750421)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アグロフォレストリー / 熱帯林 / 世界商品 / NTFPs / アフリカ / 東南アジア / ラテンアメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はカメルーンのカカオ・アグロフォレストリー、タイのチャ・アグロフォレストリー、パナマのコーヒー・アグロフォレストリーを対象とし、それぞれの地域のアグロフォレストリー・システムにおける生態景観の多様性の創出にかかわる要因を、生態学的側面や社会・経済的背景をふまえながら明らかにすることである。 令和5年度は、関連分野の研究者とのディスカッションをおこなうとともに、これまでカメルーンで収集したデータの整理・分析をおこない、学会ならびに論文として発表した。 現在、カメルーンの調査対象地域では10種類以上の非木材林産物(NTFPs)が取引されているが、これらは当該地域のカカオ・アグロフォレストリー内で観察される樹種や植物に由来するものも含まれている。52か月に渡る現地調査の結果、もっとも市場で取引されているのは、Ricinodendron heudelotiiの果実から採取されるナッツ(kernel)であることが明らかになった。この樹種はアグロフォレストリー内でも頻繁に観察され、一年を通して価格が安定しているため、カカオの端境期等、住民の現金収入源としてのポテンシャルが高い。 また、農村部と都市部で実施した食事調査の結果、森林由来のNTFPsは、生産地域よりも都市部や他地域で頻繁に利用・消費されていることが明らかになった。このことから、アグロフォレストリーの樹種構成は、生産地域だけでなく他地域の食文化によっても影響される状況が示唆された。 来年度以降は、カメルーンの熱帯林地域で見られるような現金収入源となるアグロフォレストリー構成樹種の台頭が、地域住民の農地管理にどのような影響を及ぼすのかを明らかにするとともに、他の熱帯林における同様の動きについても調査を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響で、調査計画が変更になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度までは、コロナ禍の影響や、エフォート配分との兼ね合いで、現地での調査を実施できない状況が続いていた。令和6年度からは研究計画を改めて練り直し、現地調査を実施する予定である。また、関連分野の研究者と研究会を実施してディスカッションを深め、熱帯地域のアグロフォレストリーにかんする総説を執筆する。
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Causes of Carryover |
令和5年度までは、コロナ禍の影響や本務プロジェクトとのエフォート配分の兼ね合いで、予定していた現地調査の実施ができなかったため。 令和6年度以降に、現地調査を実施する予定である。
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Research Products
(5 results)