2023 Fiscal Year Research-status Report
Interregional Exchange, Creation and Rearrangement of Culture about Banana in the Global Era
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21K12416
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 靖明 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (30533616)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | バナナ / 地域間交流 / 人類学 / 人―植物関係 / グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバル化の急速な進展をめぐる人―植物関係の研究において、それらの動向を理解するための一般的な方法や思考の枠組みはまだ確立していない。そこで本事業は、世界で広く栽培・利用され、グローバリゼーションの重層性が比較的明瞭にあらわれているバナナを事例にとりあげることで、近年の現象がどのような諸要素の関係によって展開しているのかを描写することを目的としている。2023年度は、おもに以下の3つをおこなった。 1.利用面における伝統とグローバリゼーションの関係:2022年度に引き続き、バナナの葉を活用する技法・技術の詳細とその広がりについて、科学的知見や、報道などに注目して文献調査を続けた。 2.日本における栽培の展開:国内のバナナ農園の生産者を訪問して、栽培や出荷をはじめて現在に至るプロセスについての聞き取り調査を実施した。2023年度は、本州で生産者ネットワークをつくっている国産バナナ協議会の会長にインタビューをおこなった。また、奄美諸島の農園に訪問してデータを得るとともに、各農園から品種の葉片サンプルを採取した。この葉片サンプルに関しては、既存サンプルと合わせてFlexible ddRAD-seq法によるゲノム解析を協力者に依頼し、日本列島とパラオのバナナの遺伝的多様性を明らかにする作業をおこなった。 3.マレーシア大学サバ校と連携して、バナナの多様性の高いマレーシア・サバ州においてバナナの現代的展開に関する研究会議を開催するための準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外での調査は円安・物価高により困難な状況だが、日本国内での調査が想定以上に進展しており、日本のバナナの多様性と現在の位置づけが全体的に明らかになりつつある。また、東南アジアへの研究展開の準備も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
日本における研究の成果をまとめるとともに、バナナの新たな利用展開がすすんでいる東南アジアの国内状況について知見を得ることで、現代的な動向を考察していく。また、アフリカに関する既存データからの考察も行っていく。
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Causes of Carryover |
旅費について、当初の想定よりも少なく執行できたため。2024年度は、主に現地調査と国際会議を実施する費用に使用する予定である。
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