2021 Fiscal Year Research-status Report
The interaction between society and infosphere in the periphery of Southeast Asia: with relation to "sustainable development"
Project/Area Number |
21K12428
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
生方 史数 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (30447990)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
祖田 亮次 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (30325138)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 東南アジア / 辺境社会 / 情報圏 / 持続可能な開発 / ポリティカル・エコロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東南アジア辺境地域における森林保全や一次産品の認証など、「持続可能な開発」に関連する事業を事例に、国家・市場・地域社会を構成するアクターが情報圏をどのように拡張したのか、またそれらが互いの情報圏や現実社会とどのように相互作用しているのかを検証している。初年度である2021年度は、コロナ禍で現地調査が不可能であったため、以下2つの活動を中心に行った。 第1に、関連研究に関する文献サーベイを行うことで、依拠すべき既存研究を洗い出し、研究枠組みを精緻化する作業を行った。その結果、当面の理論的な重点領域を、情報圏、開発主義・環境権威主義、およびアナキズムの3つに絞ることができた。また、研究枠組みを具体化するうえで重要な要因や着目点として、地域の自然生態的な特徴、地域社会の特徴、国家の政策や国際機関の方針、市場アクターの戦略、ステークホルダーの関係性と地域的広がり、情報メディアの種類、情報圏の範囲と重なり等を抽出し、これらの組み合わせから生じる情報圏と社会の相互作用や、対象地域の辺境統治の仮説的なパターンやシナリオを導出した。 第2に、国内でオンライン研究会を計6回開催することで、既存の情報を再整理するとともに、足りない情報や追加的なテーマを特定した。研究会では、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシアにおける上記関連事業に関する報告がなされ、これらにおける情報圏の形成過程とガバナンスの様態についての議論が行われた。また、災害リスクマネジメント事業に対する本研究枠組みの適用可能性が指摘され、自然災害対策事業に関しても本研究の新たな対象として視野に入れていくことになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のために海外での現地調査が不可能であったため。当初からある程度は想定していたため、想定に従って文献サーベイや既存の情報の整理に注力した。このため、研究枠組みの精緻化に関しては進展させることができたが、それでも研究の進行上の遅れは否めない。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度に行った研究会や文献レビューを継続しつつ、コロナ禍の回復を待って現地調査を開始する。状況と内容次第では、調査の現地カウンターパートへの委託や外部委託も検討するなど、調査方法自体の再検討も必要かもしれない。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍が想定より長引いていることにより、現地調査を全く行うことができなかったため。
|