2021 Fiscal Year Research-status Report
地球温暖化問題と太平洋島嶼国:パブリック・ディプロマシーを分析概念として
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21K12430
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小柏 葉子 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (30224091)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パブリック・ディプロマシー / 地球温暖化問題 / 太平洋島嶼国 / トランスナショナル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国家間の外交交渉以外の場で展開される地球温暖化をめぐる国際世論において、太平洋島嶼諸国が一定の位置づけを得ていることに注目し、国家が自国の政策や、立場、価値観など対する国際的な支持や共感を広げるために、外国の市民に向けて働きかけを行うパブリック・ディプロマシーを分析概念としながら、地球温暖化をめぐる太平洋島嶼諸国の外国市民に向けた活動を考察し、それを通じて、国家間関係においては国際的な影響力に乏しい諸国がパブリック・ディプロマシーを効果的に用いるには何が必要とされるのか解き明かすことを目的とする。 上記の研究目的に基づき、本年度は、まず本研究の分析枠組みであるパブリック・ディプロマシーに関する文献検索と図書購入を中心に、先行研究の収集を進め、整理を行った。次に、上記で収集、整理した関連文献に基づき、パブリック・ディプロマシーに関する理論研究を行い、研究の基本的な分析枠組みの構築を図った。また、パブリック・ディプロマシーの要素の1つとしてのソフトパワーに焦点を当てた関連文献を収集し、それらの整理を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、本年度後半に海外における現地調査を行うことにしており、そのための準備を進めていたが、年度後半の新型コロナウイルス感染症オミクロン株の世界的流行によって、結局、現地調査を実施することが時期的に叶わず、現地での資料収集や関係者へのインタビュー調査という作業に遅れが生じた。また、国内においても、新型コロナウイルス感染症蔓延等防止措置が断続的に発令されていたため、首都圏の研究調査機関における資料調査といった資料収集作業を思うように進めることができず、研究の進捗状況に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は新型コロナウイルス感染症の流行状況に大きく左右され、研究の進捗状況に遅れが生じることになったが、今後は、状況の変化に柔軟に対応しながら、国内研究調査機関における資料収集など、実現可能性の高い作業を優先して研究のスピードアップを図り、後れを取り戻すことに努めていきたい。また、海外現地調査に関しては、本研究の対象地域が医療体制のきわめて脆弱な発展途上地域であり、今後しばらくの間は厳しい入国制限が続けられる場合も想定しつつ、代替え案の検討も含め実施の可能性を探っていくことにしたい。
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Causes of Carryover |
今年度は、予定していた海外現地調査をはじめ、国内研究調査機関での資料収集についても、新型コロナウイルス感染症の蔓延のため実施することができず、結果として、次年度使用額が生じることになった。また、研究課題に関する洋書を発注したが、同じく新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延による物流の滞りにより、年度内に現品が届かず、やはり次年度使用額が生じる結果となった。 次年度は、新型コロナウイルス感染症の流行状況を注視しながら、本年度実施できなかった海外現地調査、および国内研究調査機関での資料収集の実施を目指しており、次年度使用額の中からこれに支出することを予定している。あわせて、本年度の納入が間に合わなかった発注済み洋書が次年度には納品される予定であることから、次年度使用額の中からこれにあてる計画である。
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Research Products
(1 results)