2021 Fiscal Year Research-status Report
The Lifetime of Okinawan women who married Filipino soldiers and civilians after the war.
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21K12433
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Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
下地 紀靖 名桜大学, 健康科学部, 准教授 (20634819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐和田 重信 名桜大学, 健康科学部, 准教授 (00614455)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フィリピン人軍人 / 沖縄女性 / フィリピン軍属 / 移動 / 婚姻 / フィリピン人妻 / 移民 / 太平洋戦争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦後の沖縄の混乱期にあって米軍統治下で米軍に従事していたフィリピン人と婚姻後、フィリピンに渡った沖縄女性たちを研究対象としている。研究目的として、沖縄女性たちのフィリピンへの移動前後の状況、そしてフィリピンへの移動の実態を、文字資料と体験者の証言を用いてその特質を明らかにすることである。初年度は、仮の章立てを行い、論文における仮の構成を作成し、主に文献資料、公文書、女性たちの証言の分析による、その沖縄女性たちがフィリピン人男性と出会い、沖縄で生活する歴史的な背景について明らかにしてきた。 歴史的背景として、戦後,米軍は沖縄を「キーストン・ストーン・オブ・ザ・パシフィック(太平洋の要石)」と呼んで重視し,基地の建設を急ぎ,戦闘即応兵力の配備に余念がなかった。ニミッツ布告によって厳しい出入域の制限を布かれる中,フィリピンからフィリピンスカウト(Philippine Scout)と称されたフィリピン軍人やフィリピン人軍属の軍雇用員の入域を許可し沖縄米軍基地の整備が急ピッチで進められていた。その後,米軍基地の整備が整う中でフィリピンスカウトは廃止され,軍属においても、軍雇用を地元沖縄住民に移す計画の実施により,フィリピン人軍属は契約解除され,帰国を余儀なくされている。 特に終戦後の米軍統治下の出入域管理体制において,フィリピン人軍人・軍属がどのような経緯で駐留し,滞在していたのか,またそのフィリピン人軍人や軍属と結婚した国籍や婚姻に関わる問題について調査を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、仮の章立てを行い、論文における仮の構成を作成し、資料及び聞き取りによる分析により、その歴史的な背景について明らかにしてきた。具体的には、第一章『太平洋戦争後のフィリピン軍人・軍属と沖縄女性との婚姻』で、具体的には、沖縄における米軍支配の状況とフィリピンからの軍人及び軍属の流入の経緯とその社会背景について明らかすることを目的に関連資料を収集し、フィリピン人男性が米軍の要請に応じて沖縄に来ることになった経緯と沖縄での労働環境とその変遷、フィリピンへ帰還するに至った経緯について、米軍による政策との関係性をもとに検証を進めてきた。しかしながら、新型コロナ感染症による活動制限とフィリピン渡航不可能な状態の中、沖縄在住の女性たちからの聞き取りを行っているが、同様な理由で、受けてくれる女性たちが少なく、難しい状況もある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、「フィリピンに渡った沖縄女性たちの証言」について女性たちの証言をもとに、証言を論理的に分析するためにその背景や2次資料を活用し関連要因の検討を行っている。研究の課題として、第一章「戦後のフィリピン軍属と沖縄との婚姻」や第二章「フィリピンへの移住に至る経過とその状況」においては、対象となる女性らのプライベートの生活が大きく関与しており、一次資料や関連文献のみでは、明らかにできない部分が多い点が挙げられる。第一章・第二章ともに、対象者である女性らから証言としての口述資料や保管しているパスポートや身分証明書、写真などの関連資料が必要であり、文字資料と口述資料との補完的な活用の方法について模索中である。そのため、これまでの第1章から第2章を精査して修正を加えていくことが必要となる。 また、第三章「フィリピンでの生活」では、あらかじめ準備したインタビューガイドを研究の意図に沿って再度見直し聞き取りを行い、逐語録の作成を同時に進めている。その逐語録をもとに各節を考察し、第3章の章立ての構成を検討し対象のフィリピンでの生活の特質をどのように聞き取りを行い、分析するかを検討中である。また、第2章、第3節 「沖縄での結婚までの生活と婚姻後の対象を取り巻く生活環境」について、結婚前の状況などについて数少ない沖縄に住むフィリピンからの帰住女性からの口述証言を加え構成を見直しをしていきたい。推進方策として、コロナ対策としてPCR検査を受け、安全なインタビュー環境と女性たちからの信頼を得て、聞き取りの状況強化を進める。また同時にSNSを活用した聞き取りの方法などの活用の検討を行いたい。また、渡航再開時は、現地での情報収集を行い、現在フィリピン在住の女性たちから聞き取りを加速させていきたい。
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Causes of Carryover |
前年度計画していた現地調査や聞き取りにおいて使用する物品等の購入を進めたい。
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Research Products
(1 results)