2022 Fiscal Year Research-status Report
近現代東アジアにおける水利事業と国家統合の比較研究
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21K12438
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
島田 美和 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 准教授 (60580157)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シビルエンジニアリング / 水利技術者 / ダム / 灌漑 / 土壌改良 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、米国スタンフォード大学への在外研究の機会を得たため、主に西海岸の大学での資料調査と河川及びダムの定点観察を行うフィールドワークを行った。 資料調査については、主にスタンフォード大学のフーバー研究所や東アジア図書館、カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(以下、UCLAと略す)東アジア図書館で、近現代中国の水利事業やダム建設、土壌改良など河川管理に携わった中国人やアメリカ人技術者の個人档案、中華民国の政治史に関わる『蒋介石日記』や『蒋経国日記』、『中共重要歴史文献資料匯編』や『当代中国単位和個人』など人民共和国期の档案史料を収集した。また、これらの資料調査については「アメリカでの資料収集事情」として中国基層社会史研究会で報告し、アメリカでの史料閲覧状況について中国近現代史研究者との情報共有を行った。 フィールドワークについては、中華民国期のダム建設や洪水対策に影響を与えたアメリカの水利事業を視察するために、カリフォルニア州のオシャナシーダム、アリゾナ州とネバダ州に位置するフーバーダムとコロラド川、ミシシッピ川下流域での定点観察を行った。こうしたフィールドワークによって、史料での叙述をより立体的に理解することができ、アメリカでの水利事業についての知見をより深めることができた。 滞在中は、スタンフォード大学歴史学部やフーバー研究所、UCLA歴史学部に在籍する現地研究者との意見交換など研究交流を積極的に行い、大変貴重な意見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
米国スタンフォード大学での在外研究を利用し、アメリカ西海岸での資料調査と収集をスムーズに遂行したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は米国ハーバード大学での在外研究を行うため、主に東海岸地域での資料調査と南部と中西部地域でのフィールド調査を行うとともに、これまで収集した資料をもとに国際学会で報告し、論文を執筆予定である。 資料調査については、ハーバード大学イエンチン図書館やミシガン大学図書館、米国議会図書館で中国とアメリカの水利事業に関わる一次史料や二次文献を収集する予定である。また、ハーバード大学を中心とするボストンの大学に在籍する中国近現代史研究者だけでなく、日本史研究者や水利史や技術史など科学史を専門とする研究者との交流を積極的に行い意見交換する。 フィールド調査では、中国や東アジアの水利事業に影響を与えたテネシー川流域開発公社(以下、TVAと略す)の河川事業の景観把握のためノックスビルを訪問し、アメリカの洪水対策の把握のためミシシッピ川中流域での景観調査を敢行する。これらのフィールド調査で得た知見をもとに、これまで収集した史料の分析を進めていきたい。 また、昨年スタンフォード大学を中心に収集した資料にもとづき、北京政府期と国民政府期における中国の水利事業と土壌改良政策へのアメリカ人水利技術者の影響について検討する。その内容については、6月に韓国で開催される東アジア環境史国際会議で東アジアにおけるインフラストラクチャーの構築に関するパネルで報告し、日中戦争期の黄土高原の土壌改良についての論文を執筆する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に新型コロナウイルスの発生により書籍購入や海外出張ができず残額が生じたため、本年度は本年度予算額よりも実支出額が多いにも関わらず次年度使用額が発生した。次年度も米国でのミシシッピ川中流域でのフイールド調査やワシントンでの文献調査を実施するため、次年度予算額よりも多くの実支出が見込まれる。
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