2022 Fiscal Year Research-status Report
ポストコロナ時代のインドネシアにおける生活変化に関する調査研究
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21K12440
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
内藤 耕 東海大学, 文化社会学部, 教授 (30269633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉沢 愛子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 名誉教授 (00203274)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新型コロナ禍 / DX / eコマース / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、久しぶりにインドネシアへの渡航が可能になり、8月に調査をおこなった。調査はバリ州プンゲラゴアン村とジャカルタ市レンテンアグン町、そして西ジャワ州カラワン県スカルユ村で対面式で実施した。ただし、コロナ禍がまだおさまっていたわけではないので、大規模なアンケート調査などは行うことができず、一対一の聞き取りを、マスクをつけたまま実施した。 バリでは、あれほど祭礼を重視する社会において、過去2年半の間、ほとんどの祭礼が中止されたり或いは、簡素化されていた結果、それ迄人々の生活の中で第一義的な重要性を持っていた祭礼への参加とその準備という共同体的作業が相対的に重要性を失い、人々の価値観に変化が生じたことが分かった。すなわち生活に絶対的に不可欠と感じていた祭礼がなくても、村落社会の共同体的団結や人間関係は大きな影響を受けなかったという現実に直面して、彼らの意識は変化を経験した。つまり祭礼に費やしていた時間的、労力的、金銭的負担の軽減をむしろプラスの現象として受け取るようになったと人々は語った。今後ポスト・コロナの社会でこれが継続的な変化につながるのかどうかは、今後の調査に待ちたい。ジャカルタでは、引きこもり状態にあっても、特定政党が、地域内に住む党の幹部を通じて生活物資の配給、ワクチンの接種実施などで積極的に住民に関わることによって影響力を行使したという実態が判明した。カラワン県スカルユ村ではコロナの間に亡くなった方の家族への聞き取りなどをおこなったほか、村役場の対応などを調査した。 このほかDX関連の研究として、インドネシアにおけるeコマースの進展について二次文献を中心に分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年はまだコロナ禍による入国に若干煩雑な手続きが必要であったことと、それ以上にインドネシア政府の調査許可申請システムに大きな改変があったことで、アンケート調査などがやりにくい状況にあったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度はまとめの年にあたる。コロナ禍も終息に向かっており、集中的な調査を行うことで遅れの挽回を図りたい。なかでも関係機関への聞き取り調査に重きを置いていく。 研究遂行の上でもっとも大きな課題となっている調査許可取得については、コロナ期間中も担当機関との関係維持に努めてきており、煩雑な手続きはあるものの、サポートは得られると考えている。ただし、予定通り許可取得が進まなかったときのために、現地機関との共同研究も検討していく。 また、成果発表の準備も進めていく。とくに他のアジア諸国との比較に資する研究テーマであり、英語での発表により学界への貢献に努めるべく準備を進めたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍にともなう出入国規制の緩和が想定よりも遅れたため、こちらの夏休みなどの長期休暇期間を利用した調査があまり長くは行えなかった。 23年度は十分な調査期間の確保が見込まれており、そうした遅れを挽回できると考えている。
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