2021 Fiscal Year Research-status Report
統計データを基盤としたデジタル観光市場の構築と応用に関する研究
Project/Area Number |
21K12456
|
Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
大井 達雄 立正大学, データサイエンス学部, 教授 (10367881)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 観光統計 / デジタル社会 / 観光市場 / ポストコロナ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究成果として,論文1本,書籍(まちづくりの統計学)の分担執筆1本,その他1本,ならびに学会報告3本という状況である。論文については,ジニ係数,ならびにGrossi and Mussini(2021)の要因分解を使用して,宿泊旅行統計調査の延べ宿泊者数(全体・外国人)を対象に,全国と都道府県別の季節変動分析を行った。その結果,2010年代においてジニ係数は減少傾向にあるものの,その要因としては宿泊者数の増加に起因し,一方で季節パターンの不安定性という課題が抽出された。 学会報告については,まずは宿泊旅行統計調査のミクロデータを使用し,ジニ係数の要因分解を通じて,県内,県外,ならびに外国人による季節変動への寄与を把握した。分析手法として,Lerman and Yitzhaki(1985)を参考にしている。次にKDDI株式会社が公表している「全国主要観光地における人口変動分析」のデータから,日次,月次,週次,四半期ごとにタイル指数を計算し,比較検討を行った。コロナ禍における観光市場の分析ではあるが,週次データの変動の大きさを理解することができた。 書籍(まちづくりの統計学)については,「アフターコロナ時代における観光の見える化」というタイトルで,最近のコロナ禍における観光地の対策や,観光経営にとって必要不可欠なデータの内容や解説を行ったものである。 新型コロナウイルス感染症の影響により,今後,観光市場はDXを中核とした構造変化が行われる。しかしながら,そのための環境整備が十分になされていない。やはり研究活動からの知見が重要であり,早期の研究成果の実現がもとめられていることを改めて認識した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では,Conference of the International Association for Tourism EconomicsやInternational Congress: Tourism, Economy & Environment などの国際学会に出席,ならびに報告することで,海外の研究者との交流や意見交換を行うことを予定していた。 しかしながら,世界的な新型コロナウイルス感染症のまん延により,国際学会が中止や延期となった。一方で,2021年11月に,ソウルで開催されたOECD Global Forum on Tourism Statistics, Knowledge and Policiesや,ボゴタで開催されたMOVE2021 6th International Conference on the Subnational Measurement and Economic Analysis of Tourismなどの国際会議にオンラインで参加した。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の影響により,一部の観光統計のデータの入手が困難となっているものの,政府統計やその個票を通じ分析を行う予定である。そのため,分析結果は2019年までの内容が中心となる。データベースの構築も同様である。 このように,今年度も新型コロナウイルス感染症の影響を受け,観光市場において持続的なデータ分析が困難となっている。このような状態が場合によっては数年間続くことが予想される。したがって代替的なデータの入手が可能か現在検討している。具体的には地方自治体との連携を模索している最中である。 いずれにせよ,分析結果については,国内外の学会での報告や論文としての公表を予定している。ただし,新型コロナウイルス感染症の影響により変更の可能性がある。
|
Causes of Carryover |
年度当初は秘匿性の高いデータを使用した分析を行うために専用のパソコンを購入する予定であったが,所属機関の情報環境もあり,来年度に購入することにした。また国際学会に数回参加することを計画していたが,コロナ禍の状況で実現できなかった。いずれも来年度中の予算消化を計画している。
|