2022 Fiscal Year Research-status Report
統計データを基盤としたデジタル観光市場の構築と応用に関する研究
Project/Area Number |
21K12456
|
Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
大井 達雄 立正大学, データサイエンス学部, 教授 (10367881)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 観光統計 / デジタル社会 / 観光市場 / ポストコロナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果として,学術論文1本,学会報告2本,その他1本という業績をあげることができた。学術論文については,「タイル指数による観光地の人流データの変動要因分析-新型コロナウイルス感染症の初期段階と現在を比較して―」というタイトルで,KDDIが公表している全国主要観光地における人口変動分析レポートを通じて23観光地の日次データを作成し,タイル指数,ならびに要因分解法を通じて人流データの変動要因を明らかにした。新型コロナウイルス感染症の初期段階(2020年6月から2021年5月)と現在(2021年11月から2022年10月)の2つの期間を対象とし,比較を行った。分析の結果,初期段階よりも現在のほうが滞在人口の変動が縮小傾向にあることがわかった。要因分解においては週間の変動が最大の影響を及ぼすことがわかった。特に週間の寄与については,これまで季節変動(月間も含む)や週内変動(平日と休日の差)がばらつきの中心であるという見解とは異なる結果をもたらした。 学会報告については,「『全国の人流オープンデータ』による観光地の滞在者数の経年比較分析」というタイトルで,国土交通省が公表している「全国の人流オープンデータ」を使用し,埼玉県熊谷市と深谷市を対象に分析を行った結果を報告した。おおむねデータの有用性を確認することができた。もう1つは共同報告であり,昨年度刊行された書籍「『まちづくりの統計学』の活用法」の解説を中心としている。 その他については,「アフターコロナ時代の観光市場におけるデータ活用」というタイトルで,『運輸と経済』2023年1月号に掲載された。その内容は観光市場におけるデータ活用の状況について観光統計やビッグデータの事例などを中心に解説を行ったものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
国際学会で報告することを当初は予定していたが,急激な円安や原油高による航空券などの旅行代金の急騰によって今年度は断念した。一方で研究計画書に記載されていた,データ分析のためのパソコンを購入することを予定した。NEC DirectのHPで見積書を作成し,発注に関して本学の研究推進・地域連携課に依頼した。しかしながら見積書の有効期限が数日しか存在しないことを理由に発注を拒否された。その理由は本学ではパソコンを購入する場合に1週間程度の決済期間を必要とするためである。NEC Directで見積書を作成した場合,2日程度を有効期限とする15%割引のクーポンが発行され,安価にパソコンを購入できる。しかしながら立正大学では学内決済が1週間も要するため,NEC Directのクーポンが利用できないとのことだった。代替案として出入り業者から見積書を入手したところ,NEC Directの見積書より約5万円も高い価格,すなわち15%割引のない条件で提示された。現在パソコンの購入を保留し,データ分析の実施に支障が出ている。当初から研究計画書にパソコンを購入することを明記していたにも関わらず,学内決済に1週間も必要とする根拠が不明なことや,同じスペックで5万円以上も高いパソコンを購入がもとめられるという状況は,科研費の原資が国民の税金である以上,効率的に予算を執行することが大学や研究者の責務と思っていたが,本学の研究推進・地域連携課がそれよりも学内のルールを優先する姿勢に困惑している。また科研費とは異なる研究費においても手引きに記載がなく,事前に通知のない締切期日を理由に書籍の購入を拒否される事例が発生した。現在の研究支援体制において円滑な研究活動を行う自信がないというのが率直な感想である。このように本学の支援体制を理由として研究の進捗が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
データ分析を実施するためには,必要なスペックを有するパソコンを購入することがもとめられるが,上記のような理由でその購入を保留としているので,今後の研究計画を見直すことも検討している。前任校と科研費の運用ルールが大きく異なるので,困惑している。 研究を実施する上でのさまざまな障壁がクリアされることになれば,国内外の学会での報告や論文の発表などの研究成果の公表を予定している。ただし見通しは立っていない。
|
Causes of Carryover |
国際学会での報告を予定していたが,急激な円安や原油高による航空券などの旅行代金の急騰によって令和4年度は断念した。同時にパソコンの購入を予定していたが,立正大学の学内決済が1週間も要するため,効率的な予算の消化ができないことを理由に現在保留している。今年度の使用計画については,昨年度できなかった支出を行い,研究を円滑に進めたいと考えているものの,研究支援体制が不安定なこともあり,明確な研究計画を作成できる状況にはない状態である。
|