2021 Fiscal Year Research-status Report
台湾と日本の比較を通した風景地保全制度のあり方に関する研究
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21K12462
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Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
中島 慶二 江戸川大学, 社会学部, 教授 (00804014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 知生 奈良県立大学, 地域創造学部, 教授 (40781555)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自然風景地保護 / 台湾 / 国立公園 / 国家公園 / 国家風景区 |
Outline of Annual Research Achievements |
・当初の研究計画は,台湾で関係資料の収集,関係者へのヒアリング等を行う予定であったが,新型コロナ感染症の蔓延に伴い渡航が不可能であったことから,文献収集により台湾の国家公園制度と国家風景区制度の成立経過,主に国家風景区の制度的な根拠及び制度の創設に関する時代背景等についての調査を行った。 ・国家風景区は日本にない制度であるが国立公園など日本の自然公園制度や台湾の国家公園と類似の制度であることから,これら各制度の比較や制度創設理由について明らかにするところが本研究の目的の一つである。これまで整理された基礎的情報は主に次のようなものである。①国家風景区及び国家公園の制度関連年表②国家風景区及び国家公園の法律制定時から現在までの法改正関係資料(法案及び国会議事録)③前記資料の一部の日本語訳 ・これらの資料から,以下の点が明らかになっている。 ①国家公園の検討は日本統治時代の3つの国立公園があったが,米国の国立公園の影響を受け検討が進められていたこと②日本統治下の名勝の指定が戦後の風景区の指定に影響していること③風景区は国家公園に先立って成立していたが,国家レベルの風景区の設定にあたっては,国家公園との関係の整理が必要であったこと④墾丁地域については,最初に指定された国家公園であるが,それ以前に風景区となっており,国家風景区へ移行されたが,政治的に国家公園の最初の指定地域とされた経過があること⑤上記経過から,当初,国家風景区と国家公園についての明確な差異は明らかではなく,日本統治下での名勝と国立公園の関係との類似性が認められること
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
台湾に出張しての制度関係資料の収集や台湾政府関係者との意見交換やヒアリング等を計画していたが,新型コロナ感染症の蔓延により台湾への渡航が不能となったため,研究計画の再検討が必要となり,文献資料収集を中心とした方法とし,資料収集を進めた。このことにより,若干の研究の遅れがある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度もなお新型コロナ感染症の終息を見通せず,現地での資料収集は困難であることから,文献資料収集により研究を進めることとする。国家風景区と国家公園の両者の制度の成立経過と,実際の地域指定の検討経過について明らかにし,台湾における二つの風景保全制度の目的と実際の指定背景について明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の蔓延による台湾への渡航不能により研究計画の大幅な変更が余儀なくされたため。令和3年度は,打合せ及び資料収集等にかかる経費の支出のみとなった。 来年度もコロナ感染症の終息を見通せないため,当面日本での資料収集及び整理分析を継続する。
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