2022 Fiscal Year Research-status Report
アートツーリズムの深化拡充に向けたアート受容の実態と環境創造に関する民族誌的研究
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21K12466
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
山田 香織 東洋大学, 社会学部, 講師 (50731832)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アートツーリズム / 地域芸術祭 / 環境創造 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本研究において調査対象とする瀬戸内国際芸術祭(第5回)開催年であった。そこで、本研究の問いである「アートとの距離感」の様相を把握するために、これまで定点観測を重ねてきた同芸術祭のある地域において、芸術祭の実施様態と、それへ市民関与の様相、そして、その周辺で展開される市民活動とアクターの実践状況を参与観察と聞き取りの手法で調査し、データを収集した。今回は、これまで見られなかった市民によるアートをめぐる実践を複層的に観察することができた。これについては今後さらに掘り下げ、その後の展開も観察し続けていく計画である。 今年度は、会場となる離島において来訪者が何を鑑賞・経験し、何に感銘を受けているのかを問う、来島者アンケート調査も実施した。豊島においては以前より来島者調査が実施されていた。そのため、そのアンケートの設計・実施に携わってきた山本暁美氏に協力を仰ぎ、豊島と本研究代表者の調査地である離島の2か所で、来島者調査を実施した。アンケートは、秋会期の3日間(10月8日(土)~10日(月・祝))の日程で、スマートフォンから回答してもらうデジタル形式でおこない、当初計画していたサンプル数を両島ともに収集することができた。このアンケート結果については、次年度中には分析を終え、公表する計画である。 当初より計画していたドイツでのアートフェスティバルに関する調査を実施することもできた。カッセルのドクメンタ、ベルリンのビエンナーレならびにアートウィーク、ルールのトリエンナーレを視察することで、芸術祭の位置づけ、表現されるもの、提供される鑑賞・体験の機会、鑑賞・体験のされ方を観察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画のとおりデータ収集をおこなうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
定点観測を引き続き行うことで、会期後の地域の変化を追っていく。また、会期中に活動に関わっていた人々に聞き取り調査をおこない、会期中やその後の変化について情報収集する。今年度実施したアンケート調査で収集したデータを分析し、公表する。
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Causes of Carryover |
年度途中において費用不足の可能性が生じたため、次年度予算の前倒し申請をおこなった。しかし、結果的には当初の予算範囲内で調査研究を推進することができた。つまり、次年度繰越となる使用額は、本来次年度経費として割り当てられていたものである。そのため、申請時の計画の通りに使用する。
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