2022 Fiscal Year Research-status Report
海面遊漁環境の持続可能性を考慮した費用負担のあり方に関する研究
Project/Area Number |
21K12482
|
Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
坂口 俊哉 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 講師 (70454353)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 海面遊漁 / ライセンス制 / レジャーフィッシング / スポーツフィッシング / 観光振興 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,関連情報の収集整理,海面遊漁における「ライセンス制」を導入した先行事例である北海道の「サクラマス釣り」の関係者へのインタビュー調査,遊漁関連団体関係者へのインタビュー調査を実施した.関連情報の収集整理では,「遊漁」をキーワードとして,J-Stage,CiNii Research,AgriKnowledgeのデータベースを用いて検索を行い,ヒットした論文(学術雑誌論文,紀要論文)の内容を精査した.北海道のサクラマス釣りに関する調査では,北海道水産林務部水産局漁業管理課と,石狩後志海区漁業調整委員会事務局の担当者にライセンス制導入の経緯や制度の内容,釣果実績などについて半構造化インタビューを実施した.さらに,遊漁関連団体として「NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)」「一般社団法人全日本釣り団体協議会」の担当者と遊漁船事業者,釣具小売店事業者を対象にヒアリングを行った.主な結果として 1.サクラマスのライセンス制については漁業者と遊漁者のコンフリクト回避(漁場の調整機能)が目的であり,水産庁や水産関連行政がおこなってきた「漁業の管理」「水産資源の保護」の観点から遊漁を規制する方針と基本的に変わりがないこと. 2.水産行政は,遊漁の振興やそれを通じた観光振興,釣具業界の産業振興などの政策展開に積極的ではなかったが,近年,「釣り文化振興モデル港」事業など,国土交通省など他省庁との連携によって,遊漁振興への関わりを増していること. 3.「遊漁」を扱った研究論文の多くが「資源管理」の立場から書かれたもので,「資源量の推定」や「放流効果」などに焦点が当てられた研究が多く,レジャーや観光振興にフォーカスした研究は散見される程度であったが,遊漁が地域経済に与える経済的効果が注目され始めていること. など,ライセンス制の導入を取りまく背景が明らかになった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ感染症対策の影響で行動制限があり,本務校での業務との兼ね合いで,インタビュー調査の予定が遅れたことが主な要因である.R5年度は,行動制限が緩んだことから,遅れを取り戻すための計画変更について検討している.現在は,R4年の研究内容を整理して,学会発表等の準備を進めている段階である.
|
Strategy for Future Research Activity |
R5年度は,これまでのインタビュー調査の対象を広げるとともに,インターネットを利用したアンケート調査を実施する.具体的には,水産庁,釣具業界団体,鹿児島県内の海区漁業調整委員会へのインタビュー調査を依頼する予定である. コロナ禍による初年度の遅れが影響しており,研究期間の延長も含めて,研究計画の修正を検討している.
|
Causes of Carryover |
研究初年度の研究活動がコロナ禍の影響で計画通りに進められなかった.結果として,本年度に予定していたアンケート調査が実施できていない.そのため,調査経費として申請していた金額が次年度使用額として残った.現時点では,研究期間の延長申請も含めて,研究計画の遅れを取り戻すため計画の見直しが必要と考えている.
|