2021 Fiscal Year Research-status Report
ワイマール・ナチス期ドイツにおける余暇増大とマスツーリズムの誕生
Project/Area Number |
21K12499
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
幸田 亮一 熊本学園大学, 商学部, 教授 (60153475)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 労働者ツーリズム / 自然友の会 / 労働者サイクリスト連盟 |
Outline of Annual Research Achievements |
ワイマール期およびナチス期ドイツの労働者の余暇およびツーリズム活動の実態を解明し、ツーリズム大国ドイツの歴史的背景を明らかにすることが本研究の目的である。 研究計画調書に記載した計画では、ドイツを訪ね資料収集や意見交換を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症が世界中に蔓延したため実行できなかった。そこで、日本にいて可能な範囲で文献・資料の収集につとめ、洋古書も含めて文献・資料を入手し、それらを読み進め、ノートやカードを作る作業が中心となった。 そして、本年度の研究を通して、ワイマール期の労働者ツーリズムについて以下のような概要をつかむことができた。すなわち、労働者上層部が大衆消費社会に組み込まれつつあったこと、社会民主党系と共産党系への労働運動の分裂が労働者の余暇活動をめぐる運動にも影響を及ぼしてきたこと、青年労働者が中心となりブルジョワ青年運動とは異なる運動を展開したこと、労働者の組織である「自然友の会」および「労働者サイクリスト連盟」が独自のハイキング活動とサイクリング活動を展開していったことなどである。また、自動車発明の母国でありながら米英仏に比してモータリゼーションの展開が遅れたドイツが、オートバイの普及という形で独自のモータリゼーションの道を歩んでいたことと、労働者の余暇活動の関係についても解明を試みているところである。 あわせて、このようなワイマール期の労働者ツーリズムの歩みがあったからこそ、次のナチス期のモータリゼーションの波と歓喜力行団ツーリズムが可能になったのではないかとの仮説のもと、ナチス期の「歓喜力行団」研究への土台を固めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ドイツの大学や図書館を訪ねて資料収集する予定であったが、あいにく世界的な新型コロナウイルス感染症の蔓延により海外渡航が不可能となったことが研究の遅れの最大の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
未だ世界の新型コロナウイルス感染症の推移が見通すことができないため、国内の文献・資料と洋書・洋古書の収集、その解読とノートとカード作りを進め、外の研究者とはネットを通じて意見交換を続け、まず最初の論文を作成する。
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Causes of Carryover |
研究計画調書で予定していたようなドイツでの資料収集と意見交換のための渡航が、世界的な新型コロナウイルス感染症の蔓延のためにできなかったことに加えて、国内の出張も同じ理由により出かけることができなかった。そのため、旅費に予定していた分が消化できなかったことによる。
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