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2022 Fiscal Year Research-status Report

変容する都市郊外空間における男性住民の地域「参加」-ジェンダー再構築に注目して

Research Project

Project/Area Number 21K12504
Research InstitutionTokyo Woman's Christian University

Principal Investigator

関村 オリエ  東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (70572478)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords都市郊外 / ジェンダー / 地域「参加」 / 人文地理学
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は,社会的な性別役割やそこで生じる規範を問い直すジェンダー視点から,計画空間としての都市郊外の変容と,そこでの住民たちによる日常的実践を明らかにすることである.特に本研究では,これまで見過ごされることの多かった「男性たちのジェンダー」に着目することで,いわゆる社会進出を果たす女性たちに対し男性たちはいかに地域・家庭に進出しつつあるのか,そして従来とは異なる場における彼らの新たな実践が,都市空間にいかなる変化をもたらすのか,ということを検討したいと考えている.そして,こうした検討により,企業で働く父親たちや日本に暮らす外国人男性たちがもつ新たな「男性性」についても考察したいと考えている.
高度経済成長期の日本では,職住分離の都市構造において,生産機能に特化した都心に対して,労働力の再生産に特化した郊外が形成された.このような都市構造は「稼ぎ手としての夫,それを専業主婦として支える妻」という近代家族のジェンダー役割分業によって強化されてきた.しかし,経済のグローバル化や日本型雇用慣行の崩壊により,都市構造とこれを下支えする家族は過渡期を迎え,郊外では新しい状況が生じている.こうした中で,郊外の住民たちが,職住分離の構造を支えてきた空間秩序に対して,従来とは異なる形での地域参加を果たすのか,ということが本研究の関心であった.
2022年度は,転機を迎える都市郊外において,固定的役割を越える動きを見せる住民と,対照的に従来の役割・秩序に依存するような動きを見せる住民とが存在したことが確認できた.このことは,男性たちの立場性や地域的文脈によるものと説明されているが,なぜこのような男性間の差異が生じるのかについて具体的な検討を進めている.今後も,地域的文脈(背景)との関係性の中で,空間形成主体としての男性住民たちによる地域「参加」と,そこでのジェンダー再構築について考察したい.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2021年度から2022年度にかけては,COVID-19のために所属機関の出張制限,対象地域での行動制限(インフォーマルな制限を含む)があり,当初計画していたようなフィールドワークを進めることは叶わなかった.ただ,本研究にかかるフィールド調査の資料整理(文献調査等)や,先行研究の収集に時間を割くことが可能となり,研究に関するいくつかの研究成果を挙げることができた.また,資料整理の中では,現地の研究協力者に挨拶,問い合わせ等を行う機会もあり,調査再開時に向けた関係性の保持にも努めてきた.
COVID-19による制限の一方で,研究協力者や地域の状況をある程度把握することが出来た.これは,当初計画外のことではあったが,フィールド調査が出来なかった分,先行研究を通じて地域理解に努めたことで,新たな視点の形成にもつながった.また,フィールド調査に行けない時間を使って,研究者同士でジェンダー地理学に関する研究会(オンライン)を立ち上げ,そこでの議論の成果を学会報告することも出来た.
これらのことより2022年度については,フィールド調査の機会はあまり得られなかった反面,対象地域に関する理解を深め,ジェンダー地理学の最新の議論に触れながら,研究を深化させることが出来たことは,重要な点であったと考えている.今後も研究協力者ならびに研究者ネットワークなど研究にかかる関係性構築に努めていきたい.

Strategy for Future Research Activity

2023年度は,行動制限は緩和されたもののCOVID-19の流行の状況を見守りながら,研究協力者とともに,大阪府および群馬県のフィールド調査を実施していきたいと考えている.これまでの状況では,従来文献や関連資料等を踏まえての成果となったが,やはりフィールド調査に基づくデータ収集とこれらを活用した研究成果をまとめたいと考えている.2022年度は,フィールド調査やデータの扱い方などを考える機会となったが,今後は研究者間のネットワークや研究協力者との関係性を改めて活用しながら,フィールド調査を軸とした研究の推進に努めていきたい.また,経済地理学会や人文地理学会等での研究報告も予定している.社会では終息しつつある傾向のCOVID-19の影響はこれまでほど考えなくても良いかもしれないが,感染症にかかる防止策に配慮しながら,これまで以上に研究協力者や学界との協働を通じて研究推進に努めていきたいと考えている.

Causes of Carryover

2021年度(初年度)には全国的なCOVID-19の感染流行の影響により,所属機関(当時)における旅行制限勧告等が発出されていた.このため,初年度については,予定していたフィールド調査や訪問を大幅に見合わせることとなった.また,報告予定であった国際学会も対面からオンライン開催に変更となり,開催地域(トルコ・イスタンブール)への渡航も叶わなくなった.その結果,初年度のフィールド調査,および国内外の学会参加にかかる旅費に変更が生じた.
2022年度(2年目)は,徐々に緩和されてきたものの行動制限が長らく続いていたこともあり,対象地域・施設や研究協力者の社会的な影響に配慮して,フィールド調査を見合わせたことがあった.加えて,研究代表者の個人的事情になるが,2022年度4月からの所属機関の異動にともない,研究環境が新たになったことも影響し,若干の変更が生じた.変更分は今後,予定されていたフィールド調査や訪問,得られた知見の成果報告・論文投稿のために有効に使用したいと考えている.

  • Research Products

    (6 results)

All 2023 2022

All Journal Article (2 results) (of which Open Access: 2 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 群馬県における絹産業と近代化遺産-桐生市の遺産登録に注目して-2023

    • Author(s)
      関村オリエ
    • Journal Title

      専修大学社会科学研究所月報

      Volume: 715・716 Pages: 26-44

    • Open Access
  • [Journal Article] 縮小する国内蚕糸業と絹へ回帰する産業遺産-群馬県桐生市の事例-2022

    • Author(s)
      関村オリエ
    • Journal Title

      専修大学社会科学研究所月報

      Volume: 710・711 Pages: 57-74

    • Open Access
  • [Presentation] 陸前高田の公営住宅と入居者たちの新しい「つながり」2023

    • Author(s)
      関村オリエ
    • Organizer
      シンポジウム「陸前高田の地域と風土の再構築-震災12年目に考える」
  • [Presentation] 『フェミニスト・シティ』を読む(1)-女性の友情の視点から-2023

    • Author(s)
      関村オリエ・熊谷圭知・久木元美琴
    • Organizer
      日本地理学会
  • [Presentation] コミュニティとジェンダー-空間・場所からのアプローチ-2022

    • Author(s)
      関村オリエ
    • Organizer
      杉並区公開講座
    • Invited
  • [Book] 地理学事典2023

    • Author(s)
      公益社団法人日本地理学会編
    • Total Pages
      844
    • Publisher
      丸善出版
    • ISBN
      9784621307939

URL: 

Published: 2023-12-25  

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