2021 Fiscal Year Research-status Report
平和構築・復興プロセスとジェンダー:女性兵士の処遇をめぐる政策議論と決定プロセス
Project/Area Number |
21K12507
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
高松 香奈 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (10443061)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジェンダー / 女性兵士 / UNSCR1325 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、紛争後の平和構築プロセス・復興支援プロセスにおいて、女性兵士(武装勢力の戦闘員)の処遇が、どのように政策上議論され、重要な文書に盛り込まれ/盛り込まれなかったのか。そして、それらの文書策定環境(UNSCR1325が主張する女性の積極的参加など)が、文書内容にどのような影響を与えたのかを明らかにすることを目的としている。 2021年度の研究は、まず前提条件を整理することと、政策文書の選定、整理を中心とした。そのため、女性が戦闘員として参加した紛争の整理として、現状を把握した。その上で、UNSCR1325(2000)の採択前・後について考察し、その特徴を確認するための資料の収集などをおこなった。当初の想定とやや異なるのは、参照したデータセット(WARD v1.3)の集積が進んだ結果、あらゆる地域に情報が手に入るようになった点は良いが、一方で想定以上により焦点を当てた考察が必要という考えに至った。検討した結果、アジア地域(主に東南アジア)に焦点を当てることとし、紛争の背景や女性兵士の処遇などに関連する文献など、紛争の概要やプロセスを整理することも同時に行った。これらの情報整理の結果、アフリカや南アジアの地域と比較し、質的調査などの先行研究が限定的ではあるが、例えばフィリピンやミャンマーなどの紛争地帯において、女性の戦闘員により着目し、研究を行なっていく必要性が指摘される。 2021年度の研究により、今後の考察対象を明確することができた。2021年度は、女性の戦闘員が戦闘員全体の20%を占める紛争を想定していたが、武装勢力という性質上、またデータの限界があり、この点については必ずしも明らかにすることができなかったが継続して把握に努めたい。そして、2022年度に研究発表を行うべく、フィリピンとミャンマーに焦点を当てた情報の整理と論文執筆を2021年度後半から行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
UNSCR1325(2000)の採択前後の比較については十分に行うことができなかった。その理由は主に2つで、紛争の概要や背景についての情報整理に時間を要したという点と、情報の不足(主に先行研究を参照しているが、その読み込みに時間を要している)という点があげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
若干遅れが見られている点を継続して行うのと同時に、考察対象の明確化ができたので、具体的に女性の戦闘員の処遇について、政策文書でどのような記述が行われているのか作業に入りたい。具体的な政策文書としては、和平合意、UNSCR1325行動計画そして、復興計画(リハビリテーション計画含む)である。ただ、文書が十分に入手できるのかという点の懸念もあるため、関連する情報も収集し、文書を分析していきたいと考える。
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Causes of Carryover |
学会発表まで研究が進まなかったため、次年度以降の課題とした。そのため積算した旅費の使用はない。また、研究進捗に若干の遅れが見られている点言及したが、その部分で使用する書籍調達なども次年度の課題として、今後使用が見込まれる。
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