2022 Fiscal Year Research-status Report
The applicability of Queer Theory to Empirical Research in Sociology: Theoretical Investigations of 5 principal concepts
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21K12513
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森山 至貴 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (50745510)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ホモソーシャリティ / 同性婚 / クィア理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、クィア理論の5つの重要概念のうち、前年度からの継続課題として「ホモソーシャリティ」、研究実施計画に即して「新しいホモノーマティヴィティ」に関する検討をおこなった。
・「ホモソーシャリティ」概念について、E.K.セジウィック以前の精神医学・組織論における用法、セジウィックの用法をふまえたそれ以降のクィア理論の用法を検討し、整理した論文「ホモソーシャル概念の多義性を使い尽くす」が『社会学評論』に掲載された。なお本テーマに関しては、さらに研究を進めた上で単著として出版する旨、出版社と企画している段階である。その際、ジェンダー・セクシュアリティに関する分析哲学の議論(具体的にはケイト・マンによるもの)を方法論的な下敷きとすることを予定している。 ・「新しいホモノーマティヴィティ」については、実証との接続を検討する予備作業として、このテーマの具体的実例として頻繁に挙げられる同性婚に関する論文「結婚による利益追求はいつ、どのように現状追認になり得るのか? : Homosexual Marriageの考察から」を『理論と動態』誌に投稿し、査読通過の上刊行された。この論文においては、同性間の制度的保障の無いカップル関係(=homosexual marriage)および、異性愛女性と合意の上で結婚する男性同性愛者に関する1950年代アメリカの議論を重点的に検討した。「新しいホモノーマティヴィティ」については、2023年度は、理論と実証の接合という本研究課題の主眼に即した課題で検討し直し、まとめた形で論文を執筆する予定である。 ・「ヘテロノーマティヴィティ」については、差別の心理学分野におけるマイクロアグレッションに関する議論を文献購読の形で重点的に検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画を超え理論的検討を続けているトピック(「ホモソーシャリティ」)および、研究の最終段階を先取りする=実証研究との接続を先行しておこなうトピック(「新しいホモノーマティヴィティ」)が同時並行している。
当初の研究計画とは進める順番が異なっているが、複数のトピックについて研究を積み重ねているので、おおむね順調に研究成果は積み上がっていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
・「ホモソーシャリティ」概念については引き続き理論的考察を続け、「新しいホモノーマティヴィティ」については、より理論的側面に重点をおいた形で検討を続ける。
・くわえて2023年度は、「ヘテロノーマティヴィティ」に関する検討をいっそうに前に進めたい。具体的には。制度の側面に関する「ヘテロセクシズム(異性愛主義)」と、具体的な相互行為の状況における規範の作動に着目した「ヘテロノーマティヴィティ(異性愛規範性)」の2概念の弁別可能性を探ることで、後者の概念の応用可能性を探る。
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Causes of Carryover |
当該年度終盤に購入予定だった書籍の刊行が遅れたため、確保しておいた研究費を使用しなかった。2022年度における次年度使用額については、2023年度に刊行される当該書籍の購入に充てる予定である。
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