2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on "masculinization of Deprivation"
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21K12517
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
伊藤 公雄 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (00159865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大束 貢生 佛教大学, 社会学部, 准教授 (20351306)
藤野 敦子 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (50387990)
多賀 太 関西大学, 文学部, 教授 (70284461)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 男性性 / ジェンダー / ジェンダー政策 / 剥奪感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、産業構造の変容や価値観の多様化のなかで、人類史的ともいえる構造的変化に対応しきれない男性が直面していると考えられる男性性をめぐる危機的状況を「剥奪感の男性化」という視座から調査研究するものである。実際、ここ20年ほどの間、いわゆるToxic Masculinityという視点から分析されている、固定的な男性性に縛られた男性による凶悪事件が世界中で発生している。この背景には、本研究がキー概念として用いる「剥奪(感)の男性化 Masculinization of Deprivation」とった事態が控えていると想定される。本研究は、こうした社会現象を、意識調査等を通じて考察し、その対応策を探ることを目的としている。 2021年度は、主要に現代社会における男性のおかれた状況について検討をくわえた。特に、既存の調査データやこれまで共同研究で行った調査データの再度の分析とともに、国内外の文献調査をふまえた研究会をオンライン形式で4回開催した。 また、日本社会とよく似た状況にあるイタリアの研究者や実務家とともに、DVの現状とその対策についての国際会議をオンラインで行い、伊藤が日本側の状況を説明、イタリアからは、男性対象の非暴力トレーニングの実態やDV対応の現状についてのさまざまな情報を得た。イタリアにおいても、男性性をめぐる課題が存在していることが確認され、本研究の位置付けは一層鮮明になったと考える。 研究成果については、これまでの蓄積を含めて、多数の論文や著作物を公表している。また、学会報告等も国際的レベルで行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のもとではあるが、主にオンライン形式で研究会や国際会議などを行い、当面の目標である2022年度のネットによる男性性の現状についての意識調査の準備を進めることができた。また、これまでの蓄積をふまえ、多くの研究成果の公表や学会およびシンポジウムなどの報告をおこなうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、予定通りネット調査用の質問項目の設定および調査の実施を行う。調査結果をもとに、共同研究者とともに分析を進める。その上で、男性対象のジェンダー平等政策の可能性をめぐって、考察を深めていく計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナによる状況のため、予定していた研究会等の開催ができなかった。次年度に研究会開催費用として使用予定である。
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Research Products
(14 results)