2021 Fiscal Year Research-status Report
Develop of RPL radiometer realizing measurement of heavy ion distribution and real time profiling
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21K12522
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
花泉 修 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (80183911)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ラジオフォトルミネッセンス / リン酸塩ガラス / その場線量計測 / 重粒子線 / 物理線量分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
重粒子線がん治療において最大限の治療効果を与えるために必要な、「精密な線量分布記録」と「高精度な2次元ビームプロファイルのその場測定」を簡便かつ同一測定系で実現することを目的とした技術開発を進める。従来、積算型放射線被ばく線量計として用いられているラジオフォトルミネセンス(RPL)型線量計がよく知られている。しかしながら同材料にはビルドアップ効果などが認められており、放射線量のリアルタイム計測においては、制限が生じている。取り扱いが簡便なリン酸塩ガラスRPL線量計を用いて、簡便なリアルタイム線量評価を可能とするための材料高度化と重粒子線がん治療場での応用を進めた。リン酸塩ガラスを母材として、積算型線量計としての機能を賦活する銀活性中心に加えて、他の活性中心候補を探索し、銀と複合多重化させることで、重粒子線がん治療場における、放射線のリアルタイム、その場評価型ビームプロファイリングを目指した。本年度は、これまでの研究において、銀以外の活性中心種とし新たに確認されたユウロピウム(Eu), 錫(Sn),マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)等で形成される白色蛍光中心を用いたリアルタイム計測を試験した。これらの元素について、RPL現象を示すリン酸塩ガラス中に、銀(Ag)や銅(Cu)と共添加する技術を開発した。添加量を変化させつつ、熱処理を施すことで、透明なガラス板材料や、ビーズ材料としてのガラスの形成技術を開発した。開発したリン酸塩ガラスについて、群馬大学理工学部に設置されたマイクロフォーカスX線源や、群馬大学昭和キャンパス重粒子医学研究センターにおいて、炭素線のその場計測を試験した。特に、ユウロピウムを銀に共添加させたガラス材料を用いて、炭素線の物理線量分布に沿った発光強度の変化を、リアルタイムに計測することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、これまでの研究において、銀以外の活性中心種とし新たに確認されたユウロピウム(Eu), 錫(Sn),マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)等で形成される白色蛍光中心を用いたリアルタイム線量計材料を実現させ、各種放射線の計測試験を実施することができた。これらの元素について、RPL現象を示すリン酸塩ガラス中に、銀(Ag)や銅(Cu)と共添加する技術を開発した。添加量を変化させつつ、熱処理を施すことで、透明なガラス板材料や、ビーズ材料としてのガラスの形成技術を開発した。各種材料を用いることで、炭素線の物理線量に沿った発光強度の推移が確認されている。さらに、シンクロトロン加速器から生じている炭素線パルスの内部構造を、発光信号の時間推移により計測することも可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに実現している線量計素子は、簡便に炭素線の測定を可能とする可能性を秘めている。今後は、発光波長帯域の最適化や、構造の最適化により、より応用に即した工夫が可能である。例えば、銀(Ag)や銅(Cu)と共添加する元素として、赤外帯域に発光する可能性の高いエルビウム(Er)などを用いることで、炭素線が光ファイバなどにより与える放射線損傷の影響に左右されない計測体系構築が検討できる。さらに、ガラス材料の構造を最適化させることで、子宮頸がん向けアプリケータなど放射線感受性が高い臓器周辺に配置可能なリアルタイム線量計需要に即した構造を有する線量計が実現可能である。ガラス材料自身の時間応答特性は極めて高いため、実験途中に得られたシンクロトロン加速器からの炭素線パルススピルの内部構造を、詳細に計測可能な技術への展開も検討することが有効であると考えられる。
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