2021 Fiscal Year Research-status Report
より実際的なビーム経路情報を組み込んだCT画像の代数的再構成法
Project/Area Number |
21K12529
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高梨 宇宙 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (40646692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 ちひろ 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (50649770)
竹谷 篤 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 副チームリーダー (30222095)
田村 勝 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, チームリーダー (50370119)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CT再構成 / 多元連立一次方程式 / システム行列 / 中性子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
CT撮像を行うには、X線や中性子、光などの光源と検出器の位置関係で決まるビーム経路の情報が重要である。撮像対象内の経路の情報をもとに画像再構成が行われる。X線などの点光源と異なり、中性子源は無視できない大きさの面光源である。このため、必要となる経路の幾何学的配置を記述するシステム行列はより複雑になる。画像再構成処理は、システム行列で表現される多元連立一次方程式を解くことで行われる。システム行列の特性の一つである列のランクは、最終的に得られる断層画像の画素数、検出器画素数、撮像時に対象物を撮像する方向の数(投影数)と関係し、再構成計算における不定方程式の数にも関係し、最終的に再構成断層画像の画質および定量に影響する。 また、特に大型の中性子発生源に比べ、発生中性子数の少ない小型中性子源を利用する場合、光源と撮像対象物、検出器の距離による中性子の減衰を抑えることが重要であるが、距離と光源のサイズ比で表すパラメータL/Dが小さくなる配置では画質の著しい低下を避けられなかった。 本交付申請時点で、対象とするシステム行列の幾何学的配置は、再構成する断面に限定したものであったが、上記のような状況に対して本申請における手法を3次元的に拡張して適用することで、光源からの距離を極限的に短く配置できる可能性が見えてきた。これにより、小型中性源でも短時間で良好な画質のCT画像を撮像できる可能性がある。 そこで、本年度は、本申請の手法を3次元へ拡張するための定式化をおこなった。具体的には、光源、撮像対象および検出器の3次元的な配置を設定し、3次元的なビーム経路に基づく拡張された多次元配列のシステム行列を生成する。その多次元配列のシステム行列および、光源、検出器系を表す多次元ベクトルを通常の2次元配列に変換し、従来の計算処理を適用できる形に書き換えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本交付申請時点で、対象とするシステム行列の幾何学的配置は、再構成する断面に限定したものであったが、現在研究開発が進む太陽電池ベースの検出素子を用いることで、中性子面光源の強度分布を計測中に同時に評価できる可能性が出てきた。 これにより、本年度、交付申請時点で予定していなかった本申請の手法を3次元的拡張した定式化を行なった。この為に予定よりも進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本交付申請時の手法の3次元拡張した定式化を進める。この拡張したシステム行列の構造を調べることは、研究課題の核心をなす学術的な問いの答えを探るものであり、研究を推進する上で重要である。 また、将来的に計測と同時に光源の中性子分布を評価するシステムを組み込んだ、光源からの距離を極限的に短く配置した小型中性子源CTへの発展を見据えつつ、シミュレーションに基づく経路評価およびピンホールを用いた経路評価によるシステム行列の生成とその解析を進める。
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Causes of Carryover |
本交付申請時点で対象としていた2次元システムを拡張する可能性が見えてきた。これにより、小型中性源でも短時間で良好な画質のCT画像を撮像できる可能性がある。そのため本年度は主に装置を用いた実験ではなく、上記拡張のための理論的側面の検討および問題の定式化をおこなった。このため、前年度予定してた実験のための材料の購入を行わなかった。 また、新型コロナウイルス感染予防対策により学会研究会がオンライン形式となったため、旅費の使用予定が変更になった。
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Research Products
(4 results)