2021 Fiscal Year Research-status Report
TlBr中の電荷捕獲準位解明と全吸収γ線エネルギースペクトロメータ開発への挑戦
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21K12532
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金子 純一 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90333624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
人見 啓太朗 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60382660)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | γ線 / エネルギースペクトル / 半導体検出器 / TlBr / 捕獲準位 |
Outline of Annual Research Achievements |
TlBrの原材料精製、単結晶育成をすすめた。4Nグレードの原材料を帯域精製中心に純化し、TlBr単結晶を育成した。このTlBr単結晶から検出器を作製し、共同研究先である東北大学と共同して電荷キャリア輸送特性等の評価を進めた。 原材料精製、単結晶育成技術に各種改良を重ねた結果、電荷収集効率が大幅に改善した。精製や単結晶育成時の雰囲気に関する改良を段階的に進めると共に、帯域精製に関しては安定して300回の精製を行っている。単結晶育成も同様に信頼性のある炉の開発に成功した。世界的な半導体不足の影響を受け、装置開発が大分遅れたが、年度内に予定していた装置の改良は概ね完了した。 662keVγ線を使用した実験では全吸収ピークがまだ立っていないことから、欠陥低減に加え、電極作製方法等の改善を今後進める。特に加工方法に関してはこれまでのアプローチを肯定する成果を得られたものと判断している。また電荷捕獲トラップを検証するための光照射I-V測定装置の開発も概ね予定通り進んでいる。直径0.5"のTlBr単結晶が安定して合成可能となったことから、今後の各種実験の進展も期待できる。
今後は5Nグレードの原材料の使用なども予定しており、従来行ってきた欠陥低減や電極に関する実験を積極的に進め、実用的なTlBr半導体検出器の実現を目指す。さらに安定して測定が可能となったカソードルミネッセンス法に加え、光I-V測定により捕獲準位の定量的な研究に切り込んでいく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
直径0.5"のTlBr単結晶を安定して合成可能な状況に至った。検出器評価を繰り返し行えるようになったことで、今後の性能向上が期待できる。またカソードルミネッセンス等の材料評価も安定して行えるようになったので、電荷キャリア輸送特性評価との対応なども今後進められる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はTlBr単結晶の合成数が増やせるので、各種実験が円滑に進むようになる。純度向上、ストイキオメトリ制御、加工手法の最適化などを進め、検出器性能の改善を進める。また光I-V測定により、どのような捕獲準位が存在するか明らかにする。
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