2023 Fiscal Year Annual Research Report
中性子その場観察による水素貯蔵材料内の残留水素の挙動と拡散経路の可視化
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21K12534
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
岩瀬 謙二 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (00524159)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中性子回折 / 重水素化物 / Rietveld解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
bcc固溶体合金の重水素化物中性回折データを用いMEM(Maximum Entropy Method)解析を用いて、水素の拡散経路の可視化を試みた。水素の吸蔵と共にbcc固溶体合金がCaF2-type構造に変化する。bcc構造のTサイトからCaF2-type構造のTサイトへ水素の占有位置が変化する。変化の際に、水素の拡散経路も変化していく事がMEM解析の結果から得られた。TiとTiの間の拡散経路を経由していく事も分かった。水素化物相内のTiの位置・分布が水素の拡散と密接に関連していることが明らかとなった。 研究期間全体を通じて水素吸蔵に伴う結晶構造変化がRietveld解析結果から明となった。格子定数や占有サイト・占有率の定量化によって、構造変化中の格子ひずみ量も求める事ができた。格子歪量の違いからCaF2-type構造へ構造変化することが分かった。 固溶体合金のRietveld解析では、Ti,Cr,Moの平均した仮想原子Mを設定して解析を実施する。そのため、占有水素の周りにどのような金属原子が分布・配置しているのかが分からない。PDF解析によって、水素化物相内のTi,Cr,Mo,Dの分布を明らかにすることができた。水素は、Ti濃度が高いTサイト内を占有することが分かった。 MEM解析によって水素の拡散経路が可視化され、TiとTi間の経路を拡散し構造変化を誘発していることが得られた。中性子回折実験を実施することによって、直接水素の静的・動的挙動を明らかにした。Rietveld解析、PDF解析、MEM解析を組み合わせる事によって、吸蔵された水素がどのような経路拡散し、合金内に残留するのかを定量化・可視化することができた。
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