2021 Fiscal Year Research-status Report
コヒーレント高調波計測の高度化によるレーザーシーディングの精密分析
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21K12540
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
坂本 文人 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60504818)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コヒーレント放射光 / 電子加速器 / 電磁石 / 自由電子レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
分子科学研究所極端紫外光研究施設(UVSOR)における電子ビームおよびシードレーザーとなるパルスレーザーのパラメーターを用い,光クライストロンによってコヒーレント高調波が発生する条件を3次元数値シミュレーションにより評価した.このシミュレーションにより,レーザーパルスのピーク強度が大きい際,電子ビームのエネルギー変調が過大となり磁気パルス圧縮器による微細集群が得られず放射光強度が飽和することが示された.また,適切に調整したレーザーパルスの強度においても,磁気パルス圧縮器における電子ビームの軌道調整を~10x10^-6 mの精度で行う必要があり,UVSORに現在設置されている磁気パルス圧縮器の磁気特性がこの精度を満たしていないことが明らかとなった. 磁気パルス圧縮器は3台のダイポール電磁石で構成されるが,既存の電磁石は一般的な鋼(SS400)で製造されており,磁場の再現性がなく実験毎に同じ磁場分布を得るのはこんなんである.高い磁場制御を実現させるため,磁性材料にSS400と純鉄およびケイ素鋼を用いた電磁石のテストモデルの設計を行い,現在試作が進められている.設計では1台のダイポールモデルにて飽和磁場,保磁力を各磁性材料を用いた際について数値計算により評価し,その結果ケイ素鋼を用いた場合飽和磁場がSS400と同程度でありながら,保磁力が極めて小さく抑えることが明らかとなり,これにより残留磁場の少ない高い精度での磁場分布調整が可能であると示されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高輝度コヒーレント放射光発生のための条件を数値シミュレーションにより整理し,実験に向けた準備が順調に進められている.また,改良が必要となる電磁石について様々な磁性材料の中から最適なものを選定し,試作が進めらている.次年度には実際に放射光生成を実験が実施できるペースで進められているため,順調であると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
UVSORのビームラインにシードレーザー用の光路を構築し,コヒーレント放射光の生成実験を実施する.これと並行して磁気パルス圧縮器の改良を進め,次年度内における高精度な電子ビーム軌道制御による光生成実験を実施する.
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Causes of Carryover |
学会の開催形態がオンライン開催となり,旅費が生じなかったためである.この分については,次年度の物品費または旅費として研究推進に必要となるものに充てることとし,次年度(令和4年度)として直接経費1,205,685円を執行予定である.
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